グリエーズマンが卓越した煌めき。得点王争いトップの1ゴール、さらには2アシスト!

2016年07月04日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

プレースタイルもトップ下と言うよりセカンドトップのそれだ。

前半だけで1ゴール・2アシストを記録したグリエーズマン。本来のセカンドップで水を得た魚のようにイキイキとしている。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 サンドニで開催された7月3日のEURO2016準々決勝。今大会最多の5ゴールを叩き込んでアイスランドを粉砕したフランスには、2ゴールのオリビエ・ジルー、ようやく今大会初得点が生まれたポール・ポグバなど特筆に値する選手が少なくない。しかし、もっとも眩い輝きを放ち、攻撃のキーマンたる活躍を見せていたのが、アントワーヌ・グリエーズマンだ。

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 この日のフランスは、ラウンド・オブ16のアイルランド戦後半で使った4-4-1-1を頭から採用。4-2-3-1にも見えなくもないが、グリエーズマンのスタートポジションは2列目ではなく最前線であり、守備の局面の動きを含めたプレースタイルもトップ下と言うよりセカンドトップのそれだ。
 
 グリエーズマンは序盤から敵2ライン(DFとMF)間に入り込み、巧みにボールを引き出してチームにリズムを与える。しかも、そこから前後左右にも流動的に動き、ビルドアップ、崩し、フィニッシュと攻撃の全局面に絡むので、アイスランドの守備陣は掴まえるのに四苦八苦していた。
 
 大会序盤の右サイドではなく、中央で水を得た魚のように躍動するグリエーズマンは、20分には右CKから正確なボールを供給し、ポグバのヘディングによる2点目をアシスト。さらに43分にはジルーの落としに反応してペナルティーエリア手前でボールを受けると、すぐさま横に流して、ディミトリ・パイエのミドルシュート(3点目)をアシストした。
 
 そして、45分にはポグバからの楔のパスをジルーがヒールで流すと、グリエーズマンは相手最終ラインの裏で独走。GKとの1対1を見事なループシュートで制した。
 
 ちなみに、この鮮やかな一撃は、得点王ランキングの単独トップに躍り出る今大会4ゴール目であり、さらにEURO2016の100点目にあたるメモリアル弾でもあった。
 
 前半だけで1ゴール・2アシストを記録したグリエーズマンは、後半も引き続き攻撃の核として機能。59分にジルーに代わって入ったアンドレ=ピエール・ジニャクが低調だった関係もあり、終盤はやや消えていたが、個人のパフォーマンスが下がったわけでは決してなかった。
 
 セカンドトップへのポジションチェンジがはまって2ゴールを挙げたアイルランド戦後には、「左、中央、右と自由に動けるポジション(セカンドトップ)は、もちろんやりやすい。僕の能力を一番発揮できる」と語っていたグリエーズマンは、アイスランド戦でそれを再び実証してみせた。
 
 7月7日の準決勝の相手は世界王者ドイツ。敵の守護神マヌエル・ノイアーは、ここまでPKによる1失点だけとさすがの堅牢を誇っている。ゴールにアシストにと乗りに乗っているグリエーズマンを中心とするフランス攻撃陣は、その壁を破れるのか。今から興味は尽きない。
 
現地取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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