【C大阪】完全復活へ、山口蛍が刻んだ確かな一歩。サポーターの声援に「胸にくるものがあった」

2016年07月04日 本田健介(サッカーダイジェスト)

「まずまずの出来だった」

試合後にサポーターへと挨拶をする。その表情には安堵の色が見えた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 J2の第21節、熊本対C大阪の一戦では、約3か月ぶりにホームスタジアムに戻ってきた熊本に注目が集まるなか、C大阪でも復帰戦に臨む男がいた。
 
【熊本 1-5 C大阪PHOTO】3ヶ月ぶりのうまスタでの熊本ホームゲームは、ゴールを量産したC大阪が勝利

 それは6月19日に、ドイツ・ハノーファーから古巣のC大阪へ舞い戻った山口蛍だ。
 
 約7か月ぶりのJリーグのピッチにボランチとして先発した山口は緊張した素振りを見せずにゲームに入っていった。
 
「結構間延びしている時間はあったし、中盤でブルーノ(・メネゲウ)とかがフリーで受けられるシーンがあったから、連係というよりは前に預けて好きなようにやってという形が多かった。
 
 後ろでの組み立てに関しては相手が10人になってから(33分に熊本の薗田が退場)は上手く回せたところはあるが、もう少し、前の外国人や(ボランチの相棒の)ソウザらとは、合わせていきたい。それでも最初の試合にしては大きなズレはなかった。ゲームに出ているメンバーとは1週間しか一緒にやっていなかったから、そういった面を含めればまずまずの出来だったと思う」
 
 山口の言葉通り、B・メネゲウやソウザが積極的に攻撃に絡んだチームは、熊本に5-1で勝利した。
 
 以前と変わらないポーカーフェイスな男は、「チームが連勝していたので、連勝を続けられて良かったです」と喜びの言葉を口にしつつ、「こういう気候(気温28.9度、湿度84パーセント)で、しんどかったかなというのはありますけど、90分できたというのは収穫ではあります」と話す。
 
 3月24日の代表選で鼻骨骨折および左眼窩底骨折の重傷を負い、戦列を離れていた山口にとっては約3か月ぶりの本格復帰。試合序盤には熊本の清武にドリブルで抜き去られて決定機を与えるなどやや不安な立ち上がりも、徐々に存在感を発揮し、86分には真骨頂といえるプレーを見せた。
 
 試合終盤の苦しい時間帯に相手のCB植田に悠然とプレッシャーをかけ、パスミスを誘発。即座にゴール前へと走り込み、ボールを要求した。結局、山口にパスが渡ることはなかったが、らしさが凝縮されたプレーだった。
 
 

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