サウジアラビア屈指の名門として知られるアル・ナスルは、リーグ優勝９回を誇る。現在はポルトガル代表の大エースであるクリスティアーノ・ロナウドを擁するクラブとして知名度を上げているが、セネガル代表MFサディオ・マネやクロアチア代表のMFマルセロ・ブロゾヴィッチ、スペイン代表DFエメリック・ラポルトなど、豪華な外国人タレントが揃っており、アイマン・ヤヒヤなど、サウジアラビア代表の主力クラスが脇を固める。

　イタリア人のステファノ・ピオリ監督は2021-22シーズンにACミランをスクデット（セリエAのリーグ優勝）に導いた名将で、戦術的なオーガナイズとタレントの掌握に優れている。

　４－４－２と４－２－３－１を使い分けるアル・ナスルは、ACLエリートのリーグステージでは西地区で３位となり、ラウンド16ではイランの強豪エステグラルを合計スコア３－０で破って、ベスト８に勝ち上がってきた。

　エステグラル戦の１stレグは０－０だったが、リヤドにあるホームのアル・アワル・パークでは圧倒的な強さを見せて、３発を相手ゴールに叩き込んだ。先制点は相手のビルドアップに前線のC・ロナウドと左利きのコロンビア代表FWデュランがプレッシャーをかけてミスを誘い、ボールを拾ったデュランが鮮やかなループシュートを決めている。

　２得点目はC・ロナウドが左ワイドに流れたところに、マネが入れ替わりでボックス内に進入してファウルを受けると、C・ロナウドがきっちりとPKを決めた。

　そしてダメ押しとなる３点目は、相手の退場で数的優位になった終盤、カウンターからC・ロナウド、ヤヒヤ、20歳のブラジル人FWアンジェロが絡んで、最後はデュランがこの試合の２得点目を挙げた。
 

　基本的には今シーズンの国内リーグで23得点を記録しているC・ロナウドに、いかに良い形でボールを届けるかというビジョンが共有されている。やはりC・ロナウドに相手のディフェンスが警戒することを見越して、C・ロナウドも強引に狙わず、周りを使っていくプレーがよく見られる。そのため４－４－２でも４－２－３－１でも、前の４人は流動的だ。

　守備に関しては、ハイプレスの局面ではC・ロナウドも守備に参加するが、フロントラインを越えられたところからはC・ロナウドが攻め残り、残りのアタッカー陣と中盤から後ろの選手たちでボールを奪いにいくメカニズムだ。中盤の主軸であるブロゾヴィッチはボール奪取力が高く、そこから質の高いファーストパスを出すのが仕事になっている。

　カウンターの局面では、高速アタッカーのマネが左から、右からは俊敏な小兵のヤヒヤや技巧的なアンジェロが積極的な仕掛けを見せる。

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