【バイタルエリアの仕事人】vol.51 城福浩|64才名将の指導方針の変化は? 今季の目標も激白!「超野心的だったねと言ってもらえるようなシーズンに」

2025年04月24日 野口一郎(サッカーダイジェストWeb編集部)

本音がぶつかり合ってこそ、本当に良い仕事ができる

指導方針には、変化と不変の部分があるという城福監督。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」に関して、そのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第51回は、東京ヴェルディの城福浩監督だ。

 前編では、バイタルエリアへの意識や自身の東京V監督就任時の心境などを語ってもらった。後編となる本稿ではまず、64歳の指揮官が、年の離れた選手たちを指導する時の工夫や、昨季の鳥栖戦での「晃樹!どうだ」「なに?」「できるか?」「できる!」のやり取りについても訊いた。

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 選手たちの世代が変わってきて、どのような環境で育ってきたか、選手の感受性には僕らも無関心ではいられない。そこは念頭に置きながら取り組んでいます。

 ただ、自分のアプローチを180度は変えられません。自分なりのアプローチでいかに選手に響かせられるか、いかに納得感を得てもらえるか、いかに共感を得ながら並走できるか。

 自分も多少なりとも変わり続けないといけない職業なので、おそらく少しずつ変わってきていると思います。ただ、すごく大きく変えているわけではありません。

 そのなかで変わった部分があるとすれば、指導の配分です。以前は、全部を自分が仕切るのが良い監督で、全部を自分のコントロール下に置くのがリーダーシップだと思っていました。トレーニングを、最初から最後まで見ていましたしね。
 
 でも今は優秀なコーチ陣がいるので、選手にとって、より良い状況にするために、積極的に動いてもらいたいと考えています。もちろん、チーム内で何が起きているかは、自分が把握するようにしています。

 表現方法やフォローの仕方、伝えるのは自分からダイレクトか、コーチを通じてなのか、メディアを通してか。方法の選択肢を増やし、アプローチの方法も工夫して、改善というかアジャストは心掛けています。

 晃樹とのやり取りですか? あれは、マイクがよく拾ったと思います(笑)。嬉しかったですね。彼は感情をあまり出さない選手で、積極的に見せようとはしないタイプです。 

 あの局面では、感情をぶつけ合ったとしても、お互いにプロフェッショナルなので。まあ、あれがぶつかり合いだとは思いませんけど。

 僕は全く嫌ではないです。お互いの本音がぶつかり合ってこそ、本当に良い仕事ができます。それが一つの方向を向いているから、ぶつかり合うんです。あの出来事は、今思い返しても悪くないなと。
【動画】熱いやり取りが話題に! 試合中の城福浩監督&森田晃樹

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