デビュー戦の相手は“流経”。筑波大の元プレミア得点王・山下景司が、運命に導かれるように大学サッカーの第一歩を踏み出した

2025年04月17日 安藤隆人

「まずは守備から入ろうと思った」

流経大戦で大学デビューを飾った筑波大の山下。目に見える結果は残せなかったが、献身的なプレーで奮闘した。写真:安藤隆人

 関東学生サッカーリーグ1部の第2節・流通経済大vs.筑波大の一戦で、昨年度のプレミアリーグWEST得点王で、プレミアファイナルでも2ゴールを挙げて大津高の日本一に貢献したFW山下景司が大学デビューを飾った。

 高校時代からゴール前での勝負強さ、トラップ、身体の入れ方、スペースの入り方、ワンツーなどの細かい展開からの抜け出しなど、多彩なゴールアプローチを持っている山下は、筑波大に進学した。

 開幕戦ではベンチに座るが、同じ1年生のMF矢田龍之介が1ゴール・1アシスト、DF布施克真がフル出場を果たして勝利に貢献するなか、出番は来なかった。

「最初は筑波大で焦らずに、じっくりとやっていきたいという思いがあったなかで、同期の2人が活躍する姿を見て、自分は甘えていたなと思いました。徐々にではなく、すぐに活躍できるようにならないといけないと思ったし、欲が高まりました」

 どうしても試合に出たい。そのチャンスはすぐにやってきた。その相手は奇しくも流通経済大。山下が高校最後の選手権の3回戦で、1-2のスコアで敗れた流通経済大柏は附属高校にあたる。

「試合前は相手うんぬんよりも、試合に出たら絶対にチームのためになるプレーをするとしか考えていませんでした」
 
 あえて個人的な感情は持ち込まず、目の前の試合に集中した。そして1-1で迎えた80分に出番は回ってきた。MF廣井蘭人に代わってインサイドハーフとしてピッチに投入されると、「劣勢を強いられている状態だったので、まずは守備から入ろうと思った」と、献身的なプレーを見せた。

 前へのプレスやプレスバックでボールを奪いに行ったり、ボールを受けると相手に囲まれながらも力強くキープしたりと、ゴールをこじ開けるというより、相手の勢いを止める役割を担った。

 シュートは1本も打つことはできなかったが、戦況をしっかりと把握した山下の頭脳的なプレーで試合は落ち着き、1-1のドローでタイムアップの時を迎えた。

「かなり緊張感がある状況で起用してもらったのですが、改めて大学サッカーはスピード感もフィジカル的な強度も違って、これから慣れていかないといけないと思いました。普段の練習でも、最初はまだ何もできていないという挫折から入りましたし、強度、フィジカル、技術力をもっと上げていかないと、得点という武器を出すのは難しいと感じているので、このデビュー戦をきっかけにもっと自分に厳しく、意識を高く持って取り組んでいきたいです」

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