「何事もなかったかのようにできる自信はある」2戦連続でメンバー外。横浜FCの伊藤翔は「無」の境地で来たるべき時に備える

2025年04月12日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「サッカーの感情はサッカーじゃないと消化できないから」

プロ19年目の伊藤。経験豊富な36歳はまだまだ健在だ。写真:永島裕基

 ふてくされても、投げやりにもなっていない。そんなことに何の意味があるのか。気持ちを切らさず、黙々とトレーニングに励むだけ。その心境を、横浜FCの伊藤翔は「無」と表現した。

 昨季は33試合に出場してチームトップタイの7ゴールを挙げ、J1昇格に貢献。迎えた今季は開幕から先発こそ外れるが、途中出場でピッチに立ってきた。

 だが、直近2試合はメンバー外。思うところはあるはずだが、「試合に出る・出ない、メンバーに入る・入らないもそうだけど、自分でコントロールできないから」と現状を受け止める36歳のアタッカーは、「身体とメンタルを保つ。やれることはそれ以外にない。自分がコントロールできることに力を注ぐだけ」と静かに語る。

 プロ19年目。良い時も悪い時も、様々なことを経験してきた。今、置かれている状況が初めてでもなければ、どうすればいいかも分かり切っている。

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「ルーティーンですよ。この曜日はこのトレーニングをして、足りないならメニューをきつくしたり、疲れているなら、それをやらないとか。身体については、ずっと何年もやっているし、"自分の型"がある。メンタルは、サッカーの感情はサッカーじゃないと消化できないから。グラウンドに来て、練習をやる。その繰り返しじゃないですか」

「無」ではあるが、何かをあきらめているわけではない。粛々と"来たるべき時"に備えるだけ。「フィジカルとメンタルを整えておく。いずれまた出番が来た時に、そこでいかにやれるかが大事。そこは別に、何事もなかったかのようにできる自信はある」。

 試合に絡めないなかで、やるべきことをいつも通りにこなして、準備をするのは簡単ではないかもしれない。どんな時でも、当たり前のことを当たり前にやる難しさ。伊藤はそれを認めながらも、「でも、そういうことをやってきたがゆえに、長くできていると思う」と言う。

――期待しています、今季初ゴールも早く見たい。そんな趣旨のリクエストをすれば、伊藤は確信的にニヤリと笑った。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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