難攻不落の要塞を出て、広島のホームに乗り込む。“中国ダービー”に岡山のドイツ人守護神が武者震い「全力でぶつかっていきたい」

2025年04月08日 寺田弘幸

JFEスでは4勝2分けといまだ無敗

ここまでアウェー全敗の岡山。敵地での広島戦で勝点を手にできるか。(C)SOCCER DIGEST

 岡山の本拠地「JFE晴れの国スタジアム」は、今年に初めてJ1の舞台に現われ、難攻不落の要塞と化している。

 開幕戦で京都を2-0で打ち破った後、G大阪にも2-0で勝利した。清水には1-1で引き分け、川崎には0-0。相手を上回れなくても屈することはなく、横浜FMを1-0で撃破すると、直近のFC東京戦も1-0で勝ち切って4つ目の勝利を掴んだ。

 J1に初挑戦している岡山は、JFEスで4勝2分けといまだ無敗の戦績を誇っており、何より特筆すべきは、まだ1失点しか許していないことだ。20番目からのスタートになることを自分たちで認識して、挑戦者として挑む岡山は、堅固な守備を築いて相手を返り討ちにしてみせている。

 最後の砦としてゴール前に立ちはだかるスベンド・ブローダーセンは、この堅守の要因をこう語った。

「まず、みんなが謙虚だからだと思う。特に守備の選手はみんなが聞く耳を持っているし、信頼し合えていることも大きい。いつもどういうプレーが必要かを確認し合えていて、『左!』『右!』『背中を気を付けて!』『任せて!』とか、その瞬間、瞬間で大事なことを仲間に伝えられているところがすごく良い。具体的なコミュニケーションを取れていることがうまくいっている理由だと思う」
 
 驕りがないから、隙が生まれない。信頼できる仲間と連係しているから、綻びも起きにくく、いち早くカバーにも入れる。「日本人の良いところが出せているんじゃないかな」と言うドイツ人GKは、柔和な表情を浮かべて続けた。

「私はセンターバックがどういうプレーをするか分かっているから自分の仕事に集中できるし、それはみんなも同じだと思う。組織がしっかりできているので、選手それぞれが自分の仕事を分かった状態でやれている。それと、やっぱりこのチームのメンタリティは本当に素晴らしい。アウェーのセレッソ戦で2失点したけど、その後にお互いが責め合ったり、言い合ったりすることはなかった。もし複数失点が続いても、このチームではそういうことが起きるとは思わないから、これからも安定した守備が継続できると思う」

 組織が強い絆によって結びついている守備をベースにして、アグレッシブな攻守を展開する岡山は、絶大な後押しをしてくれるファン、サポーターと共に、今後もJFEスに乗り込んでくる相手を大いに苦しめるに違いない。

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