【社長・細貝萌の生き様】多忙な日々に拍車。関係各所との連係強化、次世代への投資でアカデミーのテコ入れにも注力する

2025年04月07日 元川悦子

早朝ラン、MTG、取材対応、打ち合わせetc.

ホームゲームでは“一日フル稼働”の細貝社長。目まぐるしい日々を過ごしている。写真:元川悦子

 現役引退直後の2024年11月半ばから、ザスパ群馬の社長代行兼ゼネラルマネージャー(GM)として奔走している細貝萌氏。2月15日のJ3開幕後はチーム帯同が加わり、多忙さに拍車がかかっている状況だ。

「3月30日のホーム・ギラヴァンツ北九州戦当日を例に取ると、まず早朝4時45分から30分間ランニングに行き、うっすらと夜が明けるのを見ながら一日をスタートさせました。

 僕も昨年までは選手でしたし、みんなと一緒に戦いたいなという気持ちもあって、可能な限り、走っています。平日も前夜に会食がない日は早朝ランを続けていますし、筋トレも個人トレーナーをつけてやっていますね。

 その後、個人的な仕事のオンラインミーティングを消化して、正田醤油スタジアム群馬に到着したのが10時前。直後に取材を1本こなし、その後には飲食関係者のVIPルーム視察をアテンド。さらにグッズ製造・販売に携わっている会社との打ち合わせを行ないました。

 試合直前にはVIPやスポンサー関係者をお迎えし、試合中はGMとして試合をチェック。終わった後もいろんな関係者と話す用事があるので、一日フル稼働という感じでしたね」と本人も苦笑していたほどだ。

 まさに目まぐるしい日々を4か月過ごしたなか、彼自身もクラブ内やスポンサー、自治体など様々なところとの関係性がより深く理解するようになってきたという。

「クラブ内で言えば、『あの部署はよくスタッフ同士が話をしているな』とか『部によって横のつながりの濃淡があるな』といったことが見えるようになってきました。その現状を踏まえ、全ての組織が円滑に回るように仕向けていかないといけないという意識がより一層、強まりました。

 それはスポンサーやパートナーの方々との関係性もそう。以前は関わりがあったのに今は離れてしまっている企業、お金を払っていただいているのに、それ以外の部分で関わりが薄い企業もありますよね。僕としてはクラブに様々なメリットを提供していただいている会社と良い関係でいたい。どうしたらより密で良好な関係を築いていけるかを考え続けています」と細貝氏はしみじみと語る。

 2023年度の群馬のスポンサー収入は3億5000万円。2024年度もほぼ同等だったというが、J3に降格した今季は「大きく減るのではないか」という危惧もあった。しかしながら、新クラブトップの人望や知名度、真摯な姿勢、スタッフの努力もあって、2025年も何とか前年水準を維持できそうな見通しが立ちつつある様子だ。
 
 今は3部リーグにいるクラブ規模を拡大していくためには、トップチームを強化し、カテゴリーを引き上げ、収入を増やしていくことが一番だが、同時に次世代への投資も必要になってくる。

 群馬出身の細貝氏はザスパのアカデミーから、まだトップチームを担うような人材が出ていない現実を重く受け止め、テコ入れ策を話し合っている真っ最中だ。

「僕はドイツのレバークーゼンやヴォルフスブルク、ヘルタ・ベルリン、シュツットガルトのようなクラブにいましたから、アカデミー充実の大切さを痛感しています。Jの他クラブを見てもそうですけど、ユースからトップに上がる選手が定期的にいる。でもこのクラブの過去20年間を見ると、ユースからの昇格者がほぼ出ていないんです。

 群馬県には僕の母校でJFA高円宮杯プレミアリーグに参戦している前橋育英を筆頭に、関東プリンスリーグ1部の桐生第一、2部の高崎健康福祉大学付属高崎などの有力校があります。けれども、ザスパのU-18は今、群馬県リーグ1部を戦っている状況。群馬県はサッカー少年の数も多いし、レベルも高いので、ザスパのユースももっともっと充実させられるはずです。

 環境面で整っている練習拠点のザスパークもできましたし、今年の春休みなんかはトップの横でユースが連日、練習していました。メンバー外選手とユースの選手が一緒にトレーニングを行なうこともあって、10代の若い選手たちはすごく大きな刺激をもらっていると思います。

 そういうなかからトップに合流する人材が出てくれば一番良い。その成長スピードを上げることがすごく重要だと、この立場になって切実に感じますね」と、細貝氏は神妙な面持ちで語っていた。

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