年齢は関係ない! 194センチ・85キロのGK荒木琉偉が放つオーラ。最後の砦としての矜持「自分が全体を落ち着かせないといけない」

2025年04月07日 安藤隆人

ジャッジミスも即座に軌道修正してナイスセーブ

プレミアWEST開幕戦は0-1で敗戦。荒木は「失点は隙を与えてしまった。本当に悔しい」と振り返る。写真:安藤隆人

 194センチ、85キロ。ゴール前での佇まいからはオーラすら感じる。プレミアリーグWEST開幕戦の名古屋グランパスU-18対ガンバ大阪ユースの一戦で、後者の守護神・荒木琉偉は落ち着いたゴールキーピングを見せた。

 30分に左CKからニアですらされたボールを中央でMF小島蒼斗に押し込まれて先制こそ許したが、前半に浴びたその他の8本のシュートには、抜群のタイミングの飛び出しや安定したキャッチングでゴールを破らせなかった。

 後半にはMF野村勇仁の右からのミドルシュートに対し、技術が詰まったナイスセービングを見せた。スピードのあるライナーシュートを警戒して一歩前に出たが、シュートは少しダフった形となり、山なりのボールがゴールに向かって飛んできた。

 荒木は冷静だった。すぐにふわりとしたシュートの軌道が枠内を捉えていると判断すると、素早くバックステップを踏んで落下地点に入り込んで、右手を振り上げてバーを越すようにトスティングでゴール外に弾き出した。

 その後、チームは76分に守備の要の山本天翔が2枚目のイエローカードで退場するという苦しい展開に陥ったが、荒木は最後まで冷静に、かつチームを鼓舞する声をかけ続け、これ以上の失点は許さなかった。

 結果は0-1の敗戦となったが、後半は盛り返して両サイドからチャンスを作り出し、10人になっても果敢に攻めるなど、チームにとっては決してマイナスばかりではない結果となった。
 
「あの失点は隙を与えてしまった。本当に悔しいです」

 試合後、そう悔しさをにじませる荒木に、野村のシュートセーブについて聞くと、こう口にした。

「(強シュートを警戒して前に出たのは)僕のジャッジミスでした。でも、即座に反応して外にセーフティに弾く選択をしました」

 冷静な判断の軌道修正とポジションの取り直しのスピードは凄まじかった。加えて緩やかなボールだからこそ、外に弾き出すのは難しいが、力むことなく正確にボールを手で捉えてバーを超させた。非常にクオリティの高いリカバリープレーだった。

「あれは実戦でよく起こりうる事象だと思います。ありがたいことにトップチームの高いレベルで練習させてもらっているからこそ、軌道が変わったり、アクシデント的なことが起こったりしても対処できていると思います」

 昨年の10月14日に17歳の誕生日を迎えると同時にプロ契約を締結し、トップチーム昇格を果たしている。トップではJリーグ屈指の名手たちの力強く正確なシュートを受けるなど、経験を積んでいた。

 さらにユースでは佐野智之GKコーチの指導のもと、ハンドリングを鍛えるために、お手玉やボール遊びを取り入れて、細かい手の感覚を養ったことで、キャッチング、パンチングやトスティングなどの安定性や修正する感覚を掴むことができた。

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