【リオ五輪代表】痛恨のハンド、不完全燃焼――亀川諒史に挽回の機会は与えられるのか

2016年06月30日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「相手の動きに関係なくヘディングでセーフティにやるべきだった」

スピードある8番のケアを第一に考えた矢先のハンド。PKを与える痛恨のプレーに、亀川も悔しさを隠さなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 亀川諒史がU-23日本代表候補として戦う最後の試合は、不完全燃焼のまま幕を閉じた。コンディション自体は悪かったわけではない。リオ五輪の本大会に挑むメンバー発表を前にしても、「気にせずやろう」と、気持ちが入り過ぎていたわけでもない。
 
 だが、ペナルティエリア内でハンドをしてしまい、U-23南アフリカ代表に先制点を献上するきっかけを作ってしまった。厳しい言い方をすれば、凡ミスとも言えるシーンはなぜ生まれたのだろうか。まるで苦虫を噛み潰したような表情のまま、亀川は語った。
 
「ファーストプレーで8番(タペロ・モレナ)のスピードにビックリした。なので、まずはそのケアをしなければいけないと考えているなかでのハンドでした。最初は相手が競ってくると思っていたが、大回りしてこぼれ球を狙っているのが分かった。
 
 だから、胸トラップから反転できると判断してプレーを選択した。その一連の流れのなかで当たってしまった。副審からも見やすい場所だったし……。結果論になりますけど、相手の動きに関係なくヘディングでセーフティにやるべきだったと反省しています」
 
 確かに、南アフリカの最終ラインから供給されたフィードに対して前線の選手が競る気配はなかった。相手は脅威を与えたスピードを活かしてボールを追ったが、亀川のGKへのバックパスやゴールキックにするためのスルーに狙いを定めていた。それは映像で改めて確認しても良く分かる。
 
 だからこそ亀川も安易にクリアするのではなく、ボールを落ち着かせて自陣からビルドアップする、つまりは"つなぐ"意識の高い選択肢を選んだのだろう。しかし、結果としてPKを与える痛恨のミスを犯した。これがブラジルの地だったとしたら――。
 
 今回の戦いの舞台は国内であり、"たら""れば"の話に大した意味はないのかもしれない。それでも、「左SBにオーバーエイジ枠を使用したということは、課題があったと受け止めるしかない」という自身の言葉を裏付けてしまったとも言えるのではないか。

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