大興奮のイタリアメディア。『ガゼッタ』と『トゥット』の2紙が、まったく同じ見出しでスペイン撃破を報道

2016年06月28日 弓削高志

「スペインはミンチになった」「コンテは完璧な戦略家」――派手な表現が乱れ飛ぶ。

「GODEMOS!」=「(快勝が)心から愉快だ」という意味のフレーズをわざわざスペイン語で書くあたり、相手国への皮肉が効いている。

 EUROのラウンド16屈指の好カードとなったイタリア対スペインは、アッズーリが2-0で無敵艦隊を下し、準々決勝進出を決めた。

 2連覇中の現王者であり、今大会でも優勝候補の一角だったスペインを倒したとあって、試合翌日のイタリア・メディアは祝勝ムード一色。紙面はユニホーム伝統の青色と、緑・白・赤のイタリアン・トリコロールで染まった。
 
「GODEMOS!」
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』と『トゥットスポルト』の2紙は、申し合わせたようにまったく同じ見出しを1面に掲げた。
 
「(快勝が)心から愉快だ」という意味のフレーズをわざわざスペイン語で書くあたり、相手国への皮肉が効いている。移民の割合や異言語交流の頻度が高い欧州のメディアでは、簡単な表現であれば外国語の表現であってもそのまま見出しに使われることも多い。
 
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙の巻頭記事見出しでは「イタリアアアアアア!」と興奮を隠し切れず、「このゲームは青色の傑作。試合にならなかった(ほどの圧勝)。スペインはミンチになった」とより派手な表現が目立った。
 
 好守両面で勝利の立役者となったDFキエッリーニの扱いは大きく、33分の先制点の場面では自らのゴールを「GKが弾いたところに俺が詰めて決める」とFWペッレへ"予言"していたことが明らかに。
 
 同紙の試合採点では下馬評を覆したイタリアに9点、惨敗のスペインに4.5点がついた。代表の試合は御国贔屓の傾向が強いとはいえ、勝ったチームの評点が負けたほうの倍に達するのは異例のことだ。
 
 最高評点「8」を得た選手はDFキエッリーニを初め、終盤にミラクルセーブを見せたGKブッフォンと抜群の運動量を誇るMFジャッケリーニ、そしてトドメの2点目を奪ったペッレの4人。『コリエレ・デッロ・スポルト』と有力一般紙『ラ・レプッブリカ』は、代表監督コンテにスポットを当てた。
 
 前者は、試合中も感情表現豊かに振る舞う指揮官を「コンテ(という名の)サイクロン。常軌を逸した90分間」と評し、後者は「全員が指揮官コンテを慕う。彼は完璧な戦略家」と手腕を讃えている。

次ページ「ドイツなど恐るに足らず」と早くも準々決勝の対決ムードを煽る。

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