「タケの闘志に火が付いた」なぜ久保建英は突然目覚めたのか。ソシエダ番記者が目撃した“怒りの15分”。サポーターからは唯一のスタンディングオベーション【現地発】

2025年04月01日 ミケル・レカルデ

マドリーとのコパ・デル・レイ準決勝第2戦が控えている

バジャドリー戦で奮闘をみせた久保。(C)Getty Images

 今シーズンのラ・リーガも残り10節となった。欧州カップ戦の出場権獲得を目指すレアル・ソシエダにとって負けられない戦いが続くが、その10試合の中で最下位に沈むバジャドリーは最もイージーな相手だった。

 ただソシエダは、中2日で、大一番であるレアル・マドリーとのコパ・デル・レイ準決勝第2戦を控えている。

 イマノル・アルグアシル監督が大幅なローテーションを採用する条件が整っていたが、その一方でタケ・クボ(久保建英)をはじめミケル・オジャルサバル、マルティン・スビメンディらチームにはスタメンを外れることをよしとしない主力が大半を占める。おまけに今シーズン、複数の主力を温存した試合でソシエダは、何度も苦戦を強いられてきた。

 指揮官が、その3人を揃ってスタメンで起用し、ローテーションの採用を最小限にとどめたのはその2つの疑いを裏付けていた。

 裏を返せば、万全を期したわけだ。しかし立ち上がりからソシエダは優勢に試合を進めながら、パスのボールスピードが上がらず、ゴール前での迫力や積極性も欠いていた。シュートの機会も限られ、相手GK、アルナウ・ラフスは好セーブを披露する必要もなかった。

 そんな中でも枠内シュート2本で2得点を挙げたが、後半ロスタイムに1点差に詰め寄られ、さらにその直後にもハビ・ロペスの相手のFKを頭でクリアしそこなったボールが腕に当たった可能性があるとしてVARチェックが入るという冷や汗ものの勝利だった。
 
 そんなチームと同様に、タケも序盤からエンジンがかからない様子だった。積極的にボールに関与していたが、相手DFの死角に入り込んだり、決定的なパスを出したり、もちろんシュートを放つこともままならなかった。

 33分に、膝の重症から復帰し、数か月ぶりに右サイドでコンビを組んだアマリ・トラオレにヒールで背後にパスを送り、チャンスを演出したのが前半、唯一の見せ場だった。
【動画】久保建英の超絶ノールック背面パス
 しかしエンドが変わった後半、突然目覚めた。開始早々にレッドカードを突きつけられてもおかしくないタックルを受けたことで闘志に火が付き、インスピレーションが降りてきたようなプレーを連発した。
 

次ページ後ろからパンツを引っ張られて転倒

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事