【EURO】ウェールズ代表の主力DFがまさかの“ダブルブッキング”。このまま勝ち進めば、兄の結婚式に出席できない⁉

2016年06月28日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

結婚式の予約を入れたのは、ウェールズが予選を突破する何か月も前だった。

ウェールズ代表の8強入りに大きく貢献したガンター。このままベスト4に勝ち上がれば、兄の晴れ姿を生で拝むことは困難に…。(C)Getty Images

 EURO2016で快進撃を見せているウェールズ代表。その中心選手が嬉しい悩みを抱えている。このまま勝ち進めば、お兄さんの結婚式に出席できなくなるというのだ。
 
 その選手とはクリス・ガンター。ウェールズ不動の右ウイングバックとして、決勝トーナメント1回戦までの全4試合に先発フル出場している、主力にしてリーダー格のひとりだ。
 
 実兄マルクさんの結婚式は、7月7日にメキシコのリゾート地、カンクンで執り行われる予定。ウェールズ代表の準々決勝は7月1日で、その試合でベルギーを破れば、7月6日の準決勝に進む。
 
 EURO開催国のフランスとメキシコの間には7時間の時差があるとはいえ(準決勝のキックオフはフランス時間で7月6日の21時。カンクンは同日の14時だ)、移動の所要時間もそれだけ長い。翌日の結婚式に出席するのは難しいだろう。
 
「(マルクさんが)結婚式の予約を入れたのは、ウェールズが予選を突破する何か月も前だったんだ」
 
 ガンターはそう振り返るが、中心選手の家族にとっても、まさかの上位進出なのだろう。ウェールズのメジャー大会出場は、1958年のワールドカップ以来、実に58年ぶり。2011年8月にはFIFAランクが過去ワーストの117位にまで落ち込むなど、低迷はごく最近まで続いていた。
 
 嬉しい悩みは、ご両親のほうがひとしおかもしれない。息子の結婚式か、もうひとりの息子の大一番か。現時点では、7月1日の準々決勝をリールで観戦し、2日の飛行機でメキシコに向かう予定だが、ウェールズが勝ち上がれば、ご両親のジェラードさんとサラーさんは結婚式ではなく準決勝を選ぶのではないかと、そんな観測もある。
 
 現在26歳のガンターは若くしてA代表入りを果たした古参のひとりで、17歳と308日でのデビューは、ウェールズのレジェンドに君臨するライアン・ギグスの17歳と320日を上回る歴代5位の記録。2007年5月26日のA代表デビューから、北アイルランドを下した先日の決勝トーナメント1回戦まで、数えて71キャップを刻んでいる。
 
 ウェールズが低迷を続けた苦難の時代は、よく知っている。FIFAランクが117位に落ち込むまでの20試合は6勝14敗。ガンターはそのうちの18試合でピッチに立っているのだ。ちなみに直近の20試合は10勝4分け6敗で、FIFAランクは6月発表分の26位から確実にジャンプアップするだろう。
 
 ウェールズが準決勝まで勝ち残れば、確実に歴史的快挙となる。結婚式のスピーチを頼まれているガンターは、TV電話で祝辞を述べ、勝利の喜びを伝えるつもりだ。
 いずれにしても、おめでたい出来事が続くガンターファミリーで、今回の"ダブルブッキング"を誰よりも後悔するはめになるのは、よりによってこのタイミングでの挙式を予約したマルクさん自身かもしれない。なぜなら、結婚式の主役を務めなければならないマルクさんは、実はウェールズ代表の筋金入りのサポーターなのだから。

文:ワールドサッカーダイジェスト編集部
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