森保ジャパンを苦しめたバーレーンのアシンメトリー守備。よく設計された戦術を“創造性の塊のような男”鎌田大地がぶち壊した【W杯予選】

2025年03月21日 清水英斗

日本はいかにして攻略した?

膠着状態が続くなか、鎌田が日本を流れに乗せる先制ゴールを挙げた。(C)SOCCER DIGEST

 日本代表は3月20日、ワールドカップ・アジア最終予選でバーレーンと埼玉スタジアム2002で対戦。前半にスコアを動かせず苦戦しつつも、66分に鎌田大地、87分に久保建英がゴールを挙げ、2-0で勝利を収めた。

 これにより、グループCの日本の2位以内が確定。来年に開催される北中米W杯、アジアの一枠は日本に決まった。

 それにしても、苦しい試合だった。今回の最終予選で実績を上げてきた日本の[3-2-5]だが、もはや対戦相手に与える意外性はないようだ。バーレーンのシステムは[4-2-3-1]。日本の5トップに対して4バックになり、形がかみ合わない。かといって、5バックで数を合わせれば、全体が深く下がりすぎてサンドバックになってしまう。さあ、どうする?と、すべての対戦相手は考えるはずだが......。

 バーレーンはこれを「アシンメトリー」で解決した。

 まずは両SB。4バックのうち、右SBの5番アルシャムサンは、三笘薫にスピードに乗らせないよう、常にスライドできるサイド寄りの立ち位置を取る。CBとのすき間が空きがちになるが、そこを狙ってくる南野拓実はボランチの4番ジヤがマークした。

 逆の左SB、23番アルハラシは、やや内寄りに立ち、久保を見る。堂安律がしばしば空くのだが、三笘よりも縦に勝負される危険は少ない。左サイドハーフの20番アルフマイダンは背中で堂安を消しつつ、彼の足下にパスが入りづらいようにスペースに蓋をし、攻略されそうになれば、下がって5バック対応する。
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 このようにバーレーンは、左サイドハーフが最終ラインまで下がる守備的な役割を果たす一方で、攻撃的な右サイドハーフの7番マダンは高い位置を取り、伊藤洋輝や守田英正へ寄せる。両サイドハーフの立ち位置は、右高左低だ。こうした左右アシンメトリーの役割分担により、バーレーンは両サイドがズルズル下がって6バック化する現象を防ぎ、ハイラインの維持を可能にした。

 そもそも日本の[3-2-5]自体も、左ウイングハーフの三笘が縦突破型、右ウイングハーフの堂安はカットイン型と、左右非対称な特徴を持っているので、バーレーンのアシンメトリーな守備が合ったのも、当然と言えば当然だ。

 日本としては、前半の46分に守田のスルーパスを受けた三笘が左足でシュートに至った場面のように、南野がサイドの大外まで動いて相手ボランチのマークを混乱させるか、あるいは瀬古歩夢がもっと高い位置を取って左サイドハーフの20番アルフマイダを引きつけて5バック化を邪魔するか。考えられる解決方法はいくつかあり、後半の序盤にもトライしたが、うまくいかなかった。
 

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