Jクラブのスカウトから熱視線。“驚きの連続”ドリブラー山﨑絢心は、一気に日の目を見るステージまで引き上げられた

2025年03月19日 安藤隆人

ここにいることを場違いだと思う人はいないだろう

U-17日本高校選抜で躍動した山﨑。全国トップクラスの実力を証明した。写真:安藤隆人

 3月14日から17日まで行なわれたJヴィレッジカップU-18は、U-17日本高校選抜の全勝優勝で幕を閉じた。圧倒的な力を見せつけた高校選抜で、サイドから繰り出されるスピード溢れるドリブル突破から攻撃のアクセントを加えたのが、MF山﨑絢心だった。

「周りは有名でテレビで見た人たち、結果を残している人たちばかりなので、正直、自分がここに入ったこと自体びっくりでした。たぶん(富士市立を)みんな知らないと思いますし、今もちょっと周りに呼ばれたら、ドリブルではなくパスを出してしまうこともあるし、顔色をうかがってプレーしている時もあって、まだ遠慮が出てしまうことはあります」

 山﨑がプレーする富士市立は、静岡県内では知られた存在だが、県外はそうではない。高校選抜のメンバーを見ると、前橋育英や流通経済大柏などの選手権で結果を残したチームや、全国的に名の知れた強豪校の主軸選手たちばかり。

 萎縮するのも無理はない。だが、そのプレーを見たうえで、山﨑がここにいることを場違いだと思う人はいないだろう。

 単にスピードがあるだけではなく、多少体勢を崩してもボールを足で巻き込むようにキープし、密集地帯をスルスルとすり抜けていく。驚異のボディバランスと、まさに独特という表現がぴったりの両足のボールタッチ。ターンのキレや質も非常に高く、相手のベクトルを利用して反転ターンからの突破、タイミングの良いパスを繰り出す。
 
 見ていて視線が釘付けとなる選手だからこそ、一気に日の目を見るステージまで引き上げられた。

 地元のFC Fujiジュニアユースでプレーしていた山﨑は、練習会場が富士市立のグラウンドで、仲間と共に進学した。個の技術向上にもアプローチされた環境で1年生の頃から試合に出場し、ドリブルを磨き続けた結果、昨年のSBSカップで高3がメインの静岡県選抜に高2ながら選出されて、大きなサプライズを起こした。

「たぶん、あの選抜に入ったことが一番の驚きで、みんな1個上だし、ジュビロやエスパルス、静岡学園など名だたるチームばかり。僕は周りから全く知られていない存在だと思っていました。さらにチームで僕はジョーカー的な存在だと言われていたし、自分でも分かっていたので、与えられた時間で全力を出すことを意識しました。やっぱりスタメンで出られないことは悔しかったので、その悔しさもプレーで示そうと思っていました」

 結果、山﨑のドリブルは高いレベルでも猛威を振るい、すでに全国でもトップクラスの実力を持つことが実証された。彼の噂は一気に広がり、Jクラブのスカウトから熱視線を送られる存在となった。

【画像】バーレーン戦に向け黙々とトレーニングに励んだ三笘薫を特集!

次ページタイプの違う2人のドリブラーから大きな刺激

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事