J2でも出場機会に恵まれない"ベトナムのメッシ"。度重なる怪我に苦しめられるも「壁を乗り越えたい」

2016年06月23日 佐藤拓也

来日以降、「100%の状態になったことがない」が、水戸移籍への後悔は皆無。

1月末に右肩鎖骨を骨折し、6月上旬に左足首を負傷。グエン・コンフォンは度重なる怪我に悩まされた。写真:佐藤拓也

 グエン・コンフォンが水戸に合流してから約4か月が経った。リーグも折り返しを迎えようとしているなか、このベトナム人がピッチに立ったのは2試合、時間はわずか14分にとどまっている。「ベトナムのメッシ」と呼ばれる男の才能は、いまだ発揮できていない。
 
「頑張っているのに、常に目の前に壁がある」
 水戸に来てからの日々をグエン・コンフォンはそう振り返った。
 
 1月末に行なわれたU-23アジア選手権(リオ五輪最終予選)で右肩鎖骨を骨折。復帰まで3か月もの時間を要した。4月中旬に復帰を果たし、5月7日に行なわれた12節・北九州戦でデビューを飾った。それ以降ベンチ入りし続けたものの、6月上旬に出場したベトナム代表の試合で今度は左足首を負傷。またしても戦列を離れ、公式戦に復帰したのは6月19日の19節・山口戦からだ。
 
「肩が治ったら、今度は足首。ここからという時に怪我を繰り返してしまって、これまで100%の状態になったことがない」と嘆いた。

 しかし、水戸移籍を後悔したことは一度もない。それどころか、日本で充実した日々を過ごしている実感がある。それはベトナム代表でのチームメイトのやり取りが証明している。
 
 5月末から約1週間、ベトナム代表に参加していたグエン・コンフォンに対し、当然のようにチームメイトからは日本への移籍についての質問が飛んだという。それに対し、グエン・コンフォンはこう答えた。
 
「ベトナムにいるよりも日本に来たほうがレベルを高められる。運動量を求められるし、いろんな面で成長できる。だから、日本に来られるなら来たほうがいい」
 
 ベトナム国内では、水戸で出場機会に恵まれないグエン・コンフォンのパフォーマンス低下を懸念する声があるが、そうした雑音を気にすることなく、グエン・コンフォンは日本で充実した日々を過ごすことができている。
 
 たとえば、とある練習試合の後。45分間出場したグエン・コンフォンは若手選手と一緒に走り込みを命じられた。ベトナムのスター選手としては、受け入れがたいトレーニングだったかもしれない。

次ページ「ベトナムのメッシ」と呼ばれる理由を証明する日は、そう遠くない。

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