【総体出場校】千葉・流経大柏|史上最弱なんかじゃない! “鬼プレス”復活で全国の舞台で暴れ回る

2016年08月01日 平野貴也

決勝ではライバルの市立船橋に勝利。

プレミアリーグでは出遅れてしまったが、その反省をインターハイ予選ではしっかりと活かし、全4試合を無失点で乗り切った。写真:平野貴也

 どん底からの大逆襲だ。流経大柏が屈辱の「史上最弱説」を打ち消すため、全国の舞台で暴れ回る。
 
 2007年の全日本ユース、全国高校選手権の二冠達成や、2012年の高校勢として初の高円宮杯U-18チャンピオンシップ制覇など、数々の偉業を成し遂げている流経大柏は、言わずと知れた高校サッカー界の超強豪校だ。しかし、今季はプレミアリーグEASTで5戦全敗のスタート。苦しみを味わっている。
 
 2節以降は、すべて1点差のゲームを落とした。勝負ができないわけではないが、勝負弱い。攻撃はパス回しでリズムが生まれず、守備では持ち味のプレスが連動しない。そして敗戦という結果によって自信を失うという、負のスパイラルに陥った。
 
 しかし、インターハイの県予選では、市立船橋を下して優勝。復活のきっかけを得た。中盤で守備の要となっているMF関大和は「(プレミアリーグでは)5試合で勝点ゼロ。史上最弱と言われてしまうと話していた。プレミアは失点が多くて負けていたので、インターハイ予選は、しっかり失点ゼロに抑えて戦おうと話していた」と守備重視の割り切った戦いで県予選に臨んだことを明かした。
 
 元々、流経大柏の最大の特徴は、全国のJユースから恐れられた鬼のプレスだ。攻撃のスタイルは、選手の個性に応じて多少変わってきたが、守備のコンセプトは一貫している。前線から激しく相手ボールを追い回し、苦し紛れのパスを球際で奪い取るのが流経大柏のやり方だ。
 
 原点回帰により、インターハイの県予選は、全4試合で無失点を貫いた。バリエーションに乏しい攻撃面に課題は残るが、勝ち切る形が見えた意味は大きい。そして何より、県予選の決勝で今季無敗だったライバルの市立船橋を破ったことに価値がある。
 
 決勝では、中盤をがっちりと固めて相手のビルドアップを封鎖する奇襲に出ると、空中戦や球際で跳ね返してロースコアの勝負に持ち込み、延長戦終了直前にカウンターを決めて勝利を挙げた。技術とパワーを兼備するFW中村翼は「無敗のイチフナに勝って自信もついたと思うし、ここから巻き返したい。流経は弱いんじゃないかと(世間から)だいぶナメられていたと思う。全国大会では、日本一を目指したい」と市立船橋戦の勝利を起爆剤に巻き返す決意を語った。
 

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