これぞ不屈のアイルランド!! イタリアの堅守をこじ開けて初のグループステージ突破

2016年06月23日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

85分、ついに実ったアイルランドの執念

フーラハンのクロスを頭で合わせたのはブレイディ。85分、アイルランドがイタリアの堅守をついにこじ開けた。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 6月22日に行なわれたグループEのイタリア対アイルランドの一戦は、アイルランドが終了間際にゴールを奪い、1-0で勝利。初のベスト16入りを決めた。
 
 2連勝ですでにグループ1位での決勝トーナメント進出を決めているイタリアは、GKブッフォンをはじめとした主力を温存。前節のスウェーデン戦からスタメンを8人替えてこの試合に臨んだ。
 
 一方、ここまで1分1敗で、次ラウンド進出のためには勝利が絶対条件のアイルランドも、3失点を喫して敗れた前節のベルギー戦からスタメンを4人変更。CBコンビは過去2戦のオシェイとクラークのコンビではなくキーオ&ダフィ、最前線には今大会初登場となる長身のマーフィーを起用した。
 
 立ち上がりから攻勢に出たのは、アイルランドだった。高い位置からイタリア守備陣に激しくプレッシャーをかけてボールを奪うと、両サイドから質の高いクロスを前線に供給していく。
 
 9分にヘンドリックが強烈なミドルを放つと、21分にはCKからマーフィーがドンピシャのヘッドを見舞う(イタリアGKシリグがファインセーブ)。
 とりわけ有効だったのは、ブレイディの正確な左足と、マーフィー(191㌢)やダフィ(193㌢)の高さを活かしたセットプレーで、32分にもショートCKからダフィが頭でイタリア・ゴールを脅かしている。
 
 押され気味のイタリアは、大幅なメンバー変更の影響もあって、思うような連係が取れない。インモービレがチームの初シュートを放つまで、43分という時間を要している。
 
 後半に入っても、アイルランドの鋭い出足と気迫は衰えない。
 
 53分にザザの左足ボレーにヒヤリとさせられたものの、前線の高さと運動量、2列目で精力的にボールを拾ったヘンドリックを軸に、優勢にゲームを進めていく。
 
 引き分けでもいいイタリアだが、コンテ監督は74分にインシーニェ、81分にエル・シャーラウィと攻撃的なカードを切り、あくまで勝利への意欲を覗かせる。76分には投入されたばかりのインシーニェが放ったミドルシュートが右のポストを叩くなど、ようやくゴールの予感を漂わせ始める。
 
 だが、この試合唯一の、そして値千金のゴールをもぎ取ったのは、アイルランドの執念だった。
 
 途中投入されていたフーラハンが、GKとの1対1を逃した直後の85分――。そのフーラハンが右サイドから供給したアーリークロスに、中央に走り込んだブレイディが完璧なタイミングのヘッドで合わせたのだ。
 
 過去2試合は淡泊に映ったアイルランドだが、ここ一番で伝統とも言える不屈のメンタリティーを見せつけ、初のグループリーグ突破を成し遂げた。
 ほぼ2軍のメンバーとはいえ、イタリアの堅守をこじ開けたことは、決勝トーナメント(対戦相手はフランス)に向けて大きな自信になるはずだ。
 
 一方、悪いなら悪いなりに、つつがなく試合を終わらせる巧者イタリアにしては、いくら控えメンバー中心とはいえ、らしくない負け方だった。スペインとの決戦に、この敗戦が尾を引かなければいいのだが……。
 
 
 
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