「他の選手とは違う」アトレティコで躍動する“三男”と闘将シメオネの知られざる関係性。あらぬ疑いをもたれないように…【現地発】

2025年02月23日 エル・パイス紙

「このエネルギーレベルをずっと維持してほしい」

父ディエゴから指示を受ける三男のジュリアーノ。(C)Getty Images

 監督の息子がドレッシングルームにいることは、下手をすると時限爆弾になりかねない。コネ疑惑をかけられることは避けられない。ディエゴ・シメオネ監督は、昨夏のアジアツアーメンバーにジュリアーノを選出した時、そのことを理解していた。

 以来、公の場や日々のチームの活動において、息子との距離を保つよう細心の注意を払っている。チャンピオンズリーグのザルツブルク戦で、ジュリアーノがアトレティコのラウンド16へのストレートインを手繰り寄せる先制点を挙げた(アトレティコが4-1で勝利)時も、父親の反応は、他の選手がゴールを決めると通常見せるような熱狂的なものではなかった。感情を押し殺しているようでもあった。

 チーム内の誰もが、あらぬ疑いをもたれないように、シーズン序盤、出場機会を与えなかったり、活躍を見せていた試合で途中交代させたりした可能性を否定しない。

 記者会見でジュリアーノについて尋ねられた時のシメオネはいかにも居心地が悪そうだ。また、親子関係を連想させることを極力避けている。例えば2人は別々に練習場に到着し、その後、家族揃って食事する時も、「待っているよ」や「家で会おう」といった言葉を交わさずにこれまた別々で練習場を後にする。

 次男のジャンルカ(ジュリアーノは三男)が所属するラージョ・マハダオンダの試合を観戦する時も、隣に座ることはない。
 
 ジュリアーノの自立を促したのが、昨シーズンのアラベスへのレンタル移籍だった。復帰後、高級住宅街、ラ・フィンカ地区にある父親の邸宅で暮らす選択肢もあったが、近所で恋人との共同生活をスタートさせた。

 前述のザルツブルク後、慣例を覆してシメオネはジュリアーノを褒め称えた。

「素晴らしい時期を過ごしている。彼について強調したいのは、そのエネルギーだ。他の選手とは違う。彼は、プレーしながら、外に出て買って来るのが非常に難しい何かを周囲に伝えている。それは持っているか持っていないかなんだ。もちろん改善、克服すべき点はあるけど、どうかこのエネルギーレベルをずっと維持してほしい、彼の人生においてかけがえのないものになるはずだからね」
 

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