【EURO】“純正CF”と“偽のSB”が肝のドイツ新布陣。攻撃力は凄まじいレベルにも!?

2016年06月22日 白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

ゴメスは基準点としてほぼ満点の出来だった。

連携の軸として機能し、30分に決勝ゴールを挙げたゴメス。今大会初先発で結果を残した。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 スコアレスドローに終わった6月17日のポーランド戦後、「いつものようにチャンスを作れなかった」と嘆いたドイツのヨアヒム・レーブ監督は、6月21日の北アイルランド戦(EURO2016グループC最終節)で新たな布陣を使ってきた。

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 4-2-3-1というシステムこそ同じだが、ゼロトップに入った過去2試合はほとんど機能しなかったマリオ・ゲッツェを左サイドに回し、最前線には予選後に代表復帰したマリオ・ゴメスを起用。さらにこれまではベネディクト・ヘーベデスが担っていた右SBには、21歳のヨシュア・キンミッヒを抜擢したのだ。
 
 結果的にこの2つのテコ入れは、ボールポゼッションが今大会の全試合最高の71%、シュート数が26本と圧倒的に試合を支配する大きな要因となった。
 
 攻撃時には中盤から前6人+両SBの計8人が、ボールより前のラインにポジションを取り、長短の華麗なパスワークやドリブルを駆使して敵陣を崩しにかかるオフェンスの基本戦術は、過去2試合と同様だった。
 
 ただ、いわゆる"偽のCF"であるゲッツェと違い、生粋の"純正CF"であるゴメスは、強靭かつ大柄な身体を利して相手CBを背負いながらのポストプレーが可能。後方や斜めからのパスを受けたゴメスが、ワンタッチもしくはツータッチで捌いてゲッツェやトーマス・ミュラー、そしてメスト・エジルという2列目が相手最終ラインの裏を突くというコンビネーションで、面白いようにチャンスの山を築いた。
 
 30分に奪った決勝ゴールは、そのメカニズムの象徴的なシーンだった。中盤のやや右寄りでボールを持ったエジルが、敵2ライン(DFとMF)にいたゴメスに斜めのパス。ゴメスは半身の状態でそれをワンタッチで捌き、後方から走り込んできたミュラーがペナルティーエリア内に侵入。そのまま斜めにドリブルすると後方に短く戻し、最後はゴメスが左足でゴールネットに蹴り込んだ。
 
 ゴメスは40分、58分、81分に決定機を逃したとはいえ、攻撃の基準点としてはほぼ満点の出来。決勝トーナメントでもCFとしてスタメン起用される可能性は高い。

次ページキンミッヒの活躍にレーブ監督もご満悦。

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