王者スペイン敗れる!! グループDの首位はクロアチアに

2016年06月22日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

緊迫の頂上決戦は、最後にドラマが待っていた

87分、鋭いカウンターからペリシッチが豪快な左足シュートでニアサイドを破り、クロアチアが逆転に成功。(c)Getty Images

 現地時間6月21日にボルドーで開催されたグループDの頂上決戦は、クロアチアに軍配。王者スペインが敗れるという波乱の結果となった。
 
 クロアチアは、モドリッチ、マンジュキッチがコンディション不良ということもあり、20歳のイェドバイやログ、さらには21歳のピアツァと、若手をスタメンに抜擢。前節からメンバーを5人入れ替えた。一方のスペインは、前2試合とまったく同じ顔ぶれ。デル・ボスケ監督とその"息子たち"は、首位の座を本気で狙いにきていた。
 
 先制点を奪ったのは、スペインだった。7分、"スペース使いの天才"セスクがDFラインの裏に飛び出し、そこにシルバから絶妙のタイミングでスルーパスが届く。セスクの右からの折り返しを落ち着いて流し込んだのは、前節のトルコ戦で2ゴールを挙げたモラタだった。
 
 これでペースをつかんだスペインは、モドリッチ不在の中盤で鮮やかなパスワークを披露する。しかしクロアチアは、この流れを力づくで変えてみせた。若さを活かした前線からの激しいチェイシングで、徐々にスペインからリズムを奪う。そして、バデリ、ログのインターセプトから繰り出す速攻は、次第にフィニッシュまでつながるようになった。
 
 巧さはないが、気持ちの入ったクロアチアの力強い攻撃は45分、ついに結実する。前半途中から左サイドにポジションを移していたペリシッチが、鋭い切り返しでファンフランを攻略。右足で送り込んだクロスを、今大会初出場のFWカリニッチが右足アウトで押し込んだ。
 
 後半は、まさしく一進一退の攻防に。時間の経過とともに地力でまさるスペインがやや優位に試合を進めるものの、72分にシルバが倒されて獲得したPKをS・ラモスがミスするなど、ピリッとしない展開が続く。チェコ戦とトルコ戦でマン・オブ・ザ・マッチに輝いたイニエスタも、この日は別人のように沈黙した。
 
 互いに譲らない緊迫した展開。このままタイムアップを迎えるかに思われた試合は、最後に大きなドラマが待っていた。
 
 87分、スペインの猛攻をしのいだクロアチアが、一気のカウンターに出る。カリニッチが長い距離を運び、その左側を追い越していったペリシッチにパス。前節のチェコ戦でも名手チェフの堅牢を破っていた男は、デ・ヘアの壁も突き崩してみせた。
 
 この結果、首位通過を果たしたのはクロアチア。2位に転落したスペインは、決勝トーナメント以降、もっとも避けたかったイタリア、フランス、ドイツがいる側の山を戦うことになった。

 今後の巻き返しも十分考えられるが、現時点では、前人未到の3連覇に黄信号がともったと言うべきかもしれない。
 
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