2025年のテーマは「今を生きる」。選手から社長代行兼GMになって激変した生活【細貝萌の生き様】

2025年02月20日 元川悦子

空白期間なしで新たな立場での活動を開始

クラブのトップに立つ細貝氏。多忙な日々も充実している。(C)THESPA

 2025年のJリーグが2月14日に開幕。昨季のJ2で最下位に甘んじ、19年以来のJ3降格を余儀なくされたザスパ群馬は15日、新たなカテゴリーでの初陣に挑んだ。

 本拠地の正田醤油スタジアム群馬に迎え撃ったのはFC琉球。昨季まで浦和レッズユースで指揮を執っていた平川忠亮監督が率いる難敵だ。それでも群馬は11対1とシュート数で大きく上回り、内容的にも押し込んだが、最後までゴールをこじ開けられずにスコアレスドロー。1年でのJ2復帰に向け、ここからギアを上げていく必要がありそうだ。

 この一戦を真剣な表情で見守っていたのが、2025年2月1日から社長代行兼ゼネラルマネージャー(GM)に正式就任した細貝萌氏(以下敬称略)。ご存じの通り、昨季まで群馬の選手だった彼は、24年シーズン限りで20年間のキャリアに終止符を打つや否や、空白期間なしで新たな立場での活動を開始したのである。

「11月10日の昨季最終節を終えて、2日後に引退会見を行なった後、すぐに再スタートを切りました。11~12月というのは新シーズンに向けての編成の時期。ザスパでこれまで強化担当だった佐藤正美さんが強化部長に就任し、彼を中心に移籍や補強を進めてきましたが、僕も必要に応じて交渉や面談に立ち会ったりしました。

 まず新指揮官には、これまでコンサドーレ札幌で長くコーチをやっていた沖田優監督を招聘。就任前には僕からも目ざすべきサッカースタイルやチーム作りのビジョンを、実際に会って伝えさせてもらいました。

 選手も15人を補強。昨季まで松本山雅でプレーしていた米原秀亮選手に新キャプテンを任せました。彼はJ2上位クラブでもプレー経験のある選手。獲得前から映像で一挙手一投足を確認し、今季のザスパを引っ張ってくれる人材だと僕も感じた。本人にも『しっかりとチームを引っ張ってほしい』と声もかけましたね」と細貝は言う。

 クラブの拠点・ザスパークでのトレーニングもできるだけチェックするようにはしているが、毎日グラウンドに立っているわけではない。社長代行兼GMともなれば、社業やスポンサー営業、ホームタウン活動といった仕事もあるので、時間的余裕がないのも確か。
 
 ただ、仮に時間があったとしても「常にクラブのトップが選手のそばにいるのは良くない」という考え方があって、様々な配慮をしているという。

「ザスパークという施設は上のフロアやカフェからもグラウンドが一望できます。僕はプレーヤーを20年やったから分かりますけど、毎日クラブのトップが練習に来るようだと、現場はそれに慣れてしまって緊張感がなくなってしまう。自分自身もオーナーや社長が来ている時はモチベーションが上がったり、気合が入ったりしましたからね。

 そういう経験があるからこそ、ポイントポイントで顔を出すことが大事。クラブハウスにいる時はいろんな場所から様子を窺いつつ、いつ彼らの前に出ていくべきかというバランスを常に考えています。

 もちろん、帰り際に選手と会ったりすればコミュニケーションも取ります。昨季まで一緒にやっていた選手もいますから、気軽に声をかけたりもします。そのあたりの距離感を大事にしていますね」と、現在の立場を客観視し、最適な振る舞い方を彼なりに模索している様子だ。

「もちろん、選手と一緒にボールを蹴ったりもしません。(同い年の)本田圭佑に誘われて、カズさん(三浦知良)やアオ君(青山敏弘)たちと参加した12月26日の『4v4 JAPAN CUP2024』のエキシビションマッチの後は、一度もプレーしていませんね」と本人も笑う。

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