足りない部分はすべて伸びしろだろう
今季から横浜を率いるホーランド監督。勝利至上主義の指揮官らしい采配で初陣を勝利で飾った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)
たった一度しかない初陣を白星で飾り、ひと安心といったところか。横浜F・マリノスは2月12日、アジア・チャンピオンズリーグエリートのリーグステージ第7節で上海申花と対戦し、1-0で勝利。試合後の記者会見で40分近く饒舌に話し続けたことから、スティーブ・ホーランド監督の深層心理が垣間見える。
「どの監督も新しいクラブの仕事に就いた時に思うのは、1試合でも早く勝利を掴みたい」という言葉はおそらく真理に近い。プレミアリーグの名門チェルシーやイングランド代表でのコーチを歴任するなど輝かしい経歴のわりに、監督経験の乏しい指揮官が安堵感に浸るのは当然かもしれない。
勝利の内実に目を向けても、1-0という最少得点差はおそらく追求するスタイルから大きく外れていない。「監督はかなり守備に重きを置いている」と始動日から公式戦初戦までの印象を述べたのは、3バックの一角を務めた渡邊泰基だ。
プレシーズンキャンプから守備に注力してきた。プレスをどの位置からスタートし、どのタイミングで守備ブロックを形成するのか。あるいはセットプレーの対応にも時間を割いた。
守備意識が高まるのは確実で、自陣ゴール前での耐久力にもつながる。新加入ジェイソン・キニョーネスやボランチで先発出場したジャン・クルードは、ボールを奪い切る局面でフィジカルの強さが際立っていた。
一方で、攻撃面は消化不良に終わった。ヤン・マテウスの豪快な一撃で得点を奪ったものの、全体を通して決定機は多くない。攻撃的なポジションにタレントがいるのは昨季以前と変わらなくても、新システムの3-4-2-1に組み込んだ時の連動性は乏しい。ウイングバックが守勢に回れば、たちまち重心は下がってしまう。
もちろん始動から1か月程度でチームが完成するはずもなく、足りない部分はすべて伸びしろだろう。キャプテンの喜田拓也は「自分たちもここが100%の完成度とは思っていない。プレシーズンで積み上げるのも大事だけど、開幕してから成長していくことも大事。試合に勝ちながら成長していきたいし、積み上げられるものはたくさんある」と目線を上げていた。
【画像】"アジアを勝ち獲ろう" ホーランド新監督初陣を熱烈に後押しした横浜F・マリノスサポーターを特集!(Part1)
「どの監督も新しいクラブの仕事に就いた時に思うのは、1試合でも早く勝利を掴みたい」という言葉はおそらく真理に近い。プレミアリーグの名門チェルシーやイングランド代表でのコーチを歴任するなど輝かしい経歴のわりに、監督経験の乏しい指揮官が安堵感に浸るのは当然かもしれない。
勝利の内実に目を向けても、1-0という最少得点差はおそらく追求するスタイルから大きく外れていない。「監督はかなり守備に重きを置いている」と始動日から公式戦初戦までの印象を述べたのは、3バックの一角を務めた渡邊泰基だ。
プレシーズンキャンプから守備に注力してきた。プレスをどの位置からスタートし、どのタイミングで守備ブロックを形成するのか。あるいはセットプレーの対応にも時間を割いた。
守備意識が高まるのは確実で、自陣ゴール前での耐久力にもつながる。新加入ジェイソン・キニョーネスやボランチで先発出場したジャン・クルードは、ボールを奪い切る局面でフィジカルの強さが際立っていた。
一方で、攻撃面は消化不良に終わった。ヤン・マテウスの豪快な一撃で得点を奪ったものの、全体を通して決定機は多くない。攻撃的なポジションにタレントがいるのは昨季以前と変わらなくても、新システムの3-4-2-1に組み込んだ時の連動性は乏しい。ウイングバックが守勢に回れば、たちまち重心は下がってしまう。
もちろん始動から1か月程度でチームが完成するはずもなく、足りない部分はすべて伸びしろだろう。キャプテンの喜田拓也は「自分たちもここが100%の完成度とは思っていない。プレシーズンで積み上げるのも大事だけど、開幕してから成長していくことも大事。試合に勝ちながら成長していきたいし、積み上げられるものはたくさんある」と目線を上げていた。
【画像】"アジアを勝ち獲ろう" ホーランド新監督初陣を熱烈に後押しした横浜F・マリノスサポーターを特集!(Part1)
ロングボールを多用する上海申花のシンプルなサッカーに手を焼き、試合を決定付ける2点目を奪えなかった。その結果、負傷によるアクシデントを除いた最初の交代は81分まで待たなければならず、次の交代はアディショナルタイム突入寸前の89分。トータル3枚しか交代カードを切らなかったのは、勝利至上主義の指揮官らしい采配と言えよう。
会見では「渡邊(泰基)にしても松原(健)にしても(ジェイソン・)キニョーネスにしても交代を考えていたが、どこでどのタイミングで、ということがあった」と明かしているように、中2日で臨むJリーグ開幕戦を見据えて早めの交代策も視野に入っていた。しかしながら1-0の僅差では動くに動けない。
その結果、81分に天野純を投入して前線の運動量を確保し、89分には植中朝日に代わってボランチの山根陸を投入。明確に中盤の枚数を厚くすることで逃げ切りを図った。リアリストな素顔がしっかりと見える采配だった。
「得点数を維持しながら失点数を減らす」と言語化するのは簡単でも、現実はそう甘くない。長いシーズンの始まりの試合は練度もコンディションも差し引いて考えるべきだが、そもそもの方向性は昨季から大きく変わった。4-3-3か3-4-2-1か、単純なシステムの問題でもない。
勝つサッカーを追求するのであれば、エンターテインメント性は二の次になる。目に見える結果で横浜のアイデンティティを証明していくしかない。
取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)
【画像】"アジアを勝ち獲ろう" ホーランド新監督初陣を熱烈に後押しした横浜F・マリノスサポーターを特集!(Part2)
【画像】"アジアを勝ち獲ろう" ホーランド新監督初陣を熱烈に後押しした横浜F・マリノスサポーターを特集!(Part3)
記事:【横浜の開幕スタメン予想&最新序列】特別指定のDFを抜てきか。指揮官の采配センスが問われる2シャドーは激戦区
会見では「渡邊(泰基)にしても松原(健)にしても(ジェイソン・)キニョーネスにしても交代を考えていたが、どこでどのタイミングで、ということがあった」と明かしているように、中2日で臨むJリーグ開幕戦を見据えて早めの交代策も視野に入っていた。しかしながら1-0の僅差では動くに動けない。
その結果、81分に天野純を投入して前線の運動量を確保し、89分には植中朝日に代わってボランチの山根陸を投入。明確に中盤の枚数を厚くすることで逃げ切りを図った。リアリストな素顔がしっかりと見える采配だった。
「得点数を維持しながら失点数を減らす」と言語化するのは簡単でも、現実はそう甘くない。長いシーズンの始まりの試合は練度もコンディションも差し引いて考えるべきだが、そもそもの方向性は昨季から大きく変わった。4-3-3か3-4-2-1か、単純なシステムの問題でもない。
勝つサッカーを追求するのであれば、エンターテインメント性は二の次になる。目に見える結果で横浜のアイデンティティを証明していくしかない。
取材・文●藤井雅彦(ジャーナリスト)
【画像】"アジアを勝ち獲ろう" ホーランド新監督初陣を熱烈に後押しした横浜F・マリノスサポーターを特集!(Part2)
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