試合中に昌子が激怒?「夢生君と言い合いになった」その理由とは

2016年06月19日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「お互いになにを言ったかは覚えていないけど」

“言う時には言わないと”というスタンスを強く意識している昌子には、リーダーとしての自覚が芽生え始めている。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1・1stステージ16節] 神戸 1-2 鹿島 6月18日/ノエスタ

 それは、21分過ぎのことだった。
 
 神戸の最終ラインからロングボールが飛んでくる。これは精度を欠いて鹿島側のゴールキックになるが、プレーが切れる瞬間、昌子源が前に向かって大声を張り上げる。両手を振り上げ、なにかを要求している。
 
 取材ノートには「昌子、前に指示」と記してあった。改めて映像で見返すと、その表情は相当に怒りに満ちている。
 
「(金崎)夢生君とちょっと言い合いになって。攻撃は攻撃だけで、守備は守備だけで頑張ってくれっていう感じがあったから。夢生君も俺になにか言ってきて、お互いになにを言っていたかは覚えていないけど、ジェスチャーで」(昌子)
 
 要するに、昌子は前からももっとディフェンスをしてほしかったようだ。
 
「前から行くことによって、相手のペースも崩れると思う。僕たちが端から引くと、神戸もパス回しが上手いチームですし、特にあのふたり(レアンドロとペドロ・ジュニオール)のカウンターとかは非常に強烈なものがあったので」
 
 相手が年上だろうと、エースだろうと、関係ない。今季は特に、"言う時には言わないと"というスタンスを強く意識しているという。
 
 当たり前のことだが、金崎が憎くて言っているわけではない。すべては、チームの勝利のため、悲願のリーグタイトル奪還のためだ。リーダーとしての自覚が芽生え、一切の妥協を許さない昌子らしさが滲み出たワンシーンだった。
 
 最終的には、神戸戦は前半にリードを許す苦しい展開も、土居聖真と遠藤康のゴールで逆転勝ちを収める。この結果、福岡と引き分けた川崎を抜き、鹿島が首位に立った。
 
 最終節の福岡戦、勝てば自力でステージ優勝が決まる。しかし、この大一番に昌子はピッチに立てない。神戸戦で通算3枚目の警告を受け、累積警告で出場停止……。
 
「非常に残念。チームメイトにまた迷惑をかけてしまう。年間優勝ではないけど、自分自身、選手として、勝てばステージ優勝が決まる試合に出られないのは、非常に悔しくて、情けない」
 
 昌子だけでなく、カイオも累積警告で福岡戦に出られない。「あとはチームを信じるだけ」と語る昌子は、「紅白戦ではスタメン組に入れないと思うけど、しっかり練習相手になれるように、自分にできることを整理してやっていきたい」と前を向いた。
 

次ページ非難などしない。必死のプレーを認めているから。

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