「自分も負けてられない!」同胞の刺激を受け、先発落ちの苦難を乗り越えた22歳日本人MFが“鮮烈ゴラッソ”で存在感!「オランダに来て、プレー時間が一番長かった」【現地発】

2025年01月27日 中田徹

スパルタ戦で毎熊と丁々発止のマッチアップ

鋭い一撃で先制点を奪った三戸(右)。攻守両面でハイパフォーマンスを披露し、スパルタの劇的勝利に貢献した。(C)Getty Images

 三戸舜介がアルビレックス新潟からスパルタに移籍したのは1年余り前のこと。巧みにライン間でボールを受けながら、テクニック、アジリティ、スピードを活かしたプレーでファンを沸かせたものの、試合の後半になるとパフォーマンスが落ちてしまう課題があった。今季はさらにインテンシティ不足が指摘され、オランダ・リーグ第2節から第15節までの長きに渡ってレギュラーから外れる、苦しい時期を過ごした。
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 プレー強度の高さを練習でアピールし続けたことで、三戸は第16節のNEC戦(1-1)から定位置の座を取り戻し、1ゴールを記録した第18節のヘラクレス戦(1-1)では65分でベンチに下がったものの、余力を残しての交代だった。

 三戸が弱点を克服しつつあるからこそ、1月26日のAZ対スパルタ戦でマッチアップした毎熊晟矢と三戸の1対1の攻防は好勝負となった。疲れ知らずの攻め上がりとプレスバックを繰り返す毎熊には、ハイスピードのプレーの中でもブレない技術と、攻撃のアイデアがある。一方、三戸には狭いエリアを苦もなく打開する俊敏性がある。このふたりの直接対決は特に後半に入ってからヒートアップし、飽くなきワン・オン・ワンを繰り広げた。

 後半、先手を取ったのは毎熊のほうだった。48分、49分と続けて毎熊はスパルタDFの背後にスルーパスを通し、AZのシュートチャンスの起点となる。スパルタの選手が負傷で試合が中断した時間を使って、左SBパトリック・ファン・アーンホルトが三戸にこう言った。

「(スルーパスを出す毎熊の)前に立ってくれ」

 ここから三戸は毎熊がボールを持って攻め上がると、どこまでも付いていくようになった。三戸にとってこの日の鍵となったのは58分、バイタルエリアでターンからゴール左隅にシュートを打ち、GKのセーブでCKを得たシーンだ。
 
「あそこで感覚を掴んだのかもしれない。あのシーンのように、ゴール前で何かしら自分の特徴が一本出ると自分は乗ってきます」
 
 2分後に毎熊のトラップ際を狙ってボールを奪った三戸は、62分にも毎熊とのクロスの競り合い勝ってヘディングシュートを打った。押され出した毎熊も黙っていない。63分、毎熊はストライカー、トロイ・パロットへ出したパスのリターンを受け、低く重たいミドルシュートを放ったが、DFに当たってCKになった。

 72分、三戸がふたりの勝負に答えを出す。ファン・アーンホルトのクロスをMFアルノ・スフーレンがワンタッチで三戸に送ると、164センチの韋駄天はCBとGKの間に生まれた狭いスペースを見逃さず左足を一振り。このボレーシュートがAZゴールのニアポストを貫き、スパルタが先制する。毎熊の背走は間に合わなかった。

「左サイドからパトリック選手がボールを持った。自分もパスを受けられそうだったんですが、中にFW(トビアス・ラウリツェン)と10番の選手(スフーレン)がいると思ったので、『そこに当ててから、自分のところに来たらいいな』と想像していたら、本当にその通りにボールが来ました。そこまでいいボールではなかったですけれど、いい感じにバウンドしていて『振るしかない』と思って打ちました。こっち(後ろ)に毎熊選手がいて、こっち(前)にセンターバックの選手がいて、良く入ったなという感じです(笑)。嬉しかったです」
【動画】三戸舜介がスパルタ戦で決めた"鮮烈ゴラッソ"をチェック!

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