【EURO 今日は何の日】6月12日「強豪たちの黒星発進…その後の異なる結末」

2016年06月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

優勝候補が揃って敗れた88年、開催国が屈辱にまみれた04年。

優勝候補イングランドは悪いかたちで失点し、最後までリズムを掴めなかった。写真は決勝点のホートン(左)とイングランドDFのマーク・ライト。 (C) Getty Images

 1988年6月12日、西ドイツ(当時)で行なわれたグループBの2試合は、優勝候補のイングランド、オランダの初戦ということで、戦前から多くの注目を集めていた。
 
 イングランドは戦前に高い評価を受け、監督のボビー・ロブソンも66年の自国開催のワールドカップ以来となるメジャータイトル制覇に大きな自信を見せるなど、自他ともに認める優勝候補の一角だった。
 
 一方のオランダは、87年のバロンドール受賞者ルート・フリットが加入1年目してミランにスクデットをもたらして評価を高めており、また多くの代表選手を輩出しているPSVが大会直前にチャンピオンズ・カップ(現リーグ)を制すなど、最も勢いに乗ったチームだった。
 
 そんな両者が、大事な初戦に臨み、それぞれアイルランド、ソ連と対戦した。結果は……ともに0-1の敗北だった。
 
 イングランドは試合開始から間もなく、ミスからアイルランドのレイ・ホートンにヘディンシュートを許し、名GKピーター・シルトンは頭上を越された。その後、猛攻を仕掛けるも、守護神パット・ボナーを中心としたDF陣を崩せず、39年ぶりにアイルランドの軍門に降った。
 
 オランダは、強敵・ソ連と好勝負を展開。優れたタレントによる高度な組織サッカーでたびたび得点機を得る。しかし、絶対に決まったと思われるシュートは、ことごとくソ連の名GKリナト・ダサエフにセーブされた。
 
 そして後半、ソ連は速い攻めからヴァシリー・ラッツがダイレクトで鋭いシュートをオランダ・ゴールに突き刺して先制。その後、焦ったオランダが個人の力に頼った無理な攻めに終始して時間を浪費したことで、試合はそのまま終了した。
 
 ともに黒星スタートとなった強豪2国だが、ダメージは格下チームの術中に嵌ったイングランドの方が大きかった。次節で両チームは対峙し、オランダは攻撃力が爆発して、以降、優勝へ突き進み、イングランドは悪夢の3連敗を喫して失意のまま大会を終えることとなる。
 
 このような、初戦で大きな失望を味わったチームとしては、他に2004年大会の開催国ポルトガルが挙げられる。6月12日の大会オープニングゲームで、彼らが迎えた相手は、戦前の評価が最も低いギリシャだった。
 
 優勝だけを狙い、初戦勝利を当然のことと考えていたポルトガルが、ギリシャに足元をすくわれる。開始7分で先制を許し、後半にはPKを与えてしまった。
 
 多くの時間帯でボールを保持しながら、カウンターとセットプレーでゴールを許したポルトガルは、後半アディショナルタイムに、当時19歳のクリスチアーノ・ロナウドが1点を返すのが精一杯。開催国は戸惑う国民の目前で、衝撃の敗北を喫したのである。
 
 もっとも、ポルトガルにとって屈辱はこれだけで終わることはなかった。ここから持ち直して決勝戦まで進んだ彼らの前には、さらなる悲しみと失望が待ち受けていたのである――。

◎6月12日に行なわれた過去のEUROの試合
◇1984年フランス大会
開幕戦
フランス 1-デンマーク
 
◇1988年西ドイツ大会
グループステージ
アイルランド 1-イングランド
ソ連 1-オランダ
 
◇1992年スウェーデン大会
グループステージ
オランダ 1-スコットランド
CIS 1-ドイツ
 
◇2000年ベルギー・オランダ大会
グループステージ
ドイツ 1-ルーマニア
ポルトガル 3-イングランド
 
◇2004年ポルトガル大会
開幕戦
ギリシャ 2-ポルトガル
グループステージ
スペイン 1-ロシア
 
◇2008年オーストリア・スイス大会
グループステージ
クロアチア 2-ドイツ
オーストリア 1-ポーランド
 
◇2012年ポーランド・ウクライナ大会
グループステージ
チェコ 2-ギリシャ
ポーランド 1-ロシア

※ここでの日付は全て現地時間
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