「よし、俺も頑張ろう」古巣ファジの躍進にNEC佐野航大も燃えた。アヤックスに敗れるも対等にデュエルで応戦。示した成長の跡【現地発】

2024年12月03日 中田徹

出足鋭くセカンドボールを拾って攻撃を展開

NECで充実の日々を送る佐野。(C)Getty Images

 12月1日の朝、佐野航大(NEC)の目がふと覚めた。日本ではJ1昇格プレーオフ準決勝、モンテディオ山形対ファジアーノ岡山が行なわれている時間帯だった。

「ファジアーノが面白いサッカーをしているな。力強い時のファジアーノだな」

 古巣の岡山が3-0で勝利し、7日のべガルダ仙台との決勝戦にコマを進めた。

「よし、俺も頑張ろう」

 アヤックス戦を数時間後に控えた佐野は気持ちを奮い立たせた。

 NECは1-2で惜敗した。それでもアヤックスのシュート8本に対し、NECは21本ものシュートを放つ、積極果敢な攻撃サッカーを披露した。もちろん、チームとしても、佐野個人としても、アヤックス相手に勝ちきれなかった何かがあった。佐野は、アヤックス戦のパフォーマンスをこう振り返る。

「球際のところで今日はちょっと足が届かなかったり、相手に入れ替わられてしまう局面が何回かありました。ボールを握るという点でも、もっと自分のところから展開したかったですが、ちょっと難しかったです」

 それでも今年2月、アヤックスと対戦した時より、佐野は成長を感じている。2-2で終わったアムステルダムでの試合、佐野は相手選手のフィジカルに押されていた。しかし、今回は対等にデュエルで応戦し、出足鋭くセカンドボールを拾ってから攻撃を展開した。その姿にこの10か月間の成長の跡を見た。
 
 本人は、岡山の人たちに自身の成長した姿を見てほしかったようで「アヤックス戦は日本で配信がありましたか? アヤックスに勝つことを届けられたら良かったんですけれど...。岡山の人たちが見ていたら嬉しいです」と語っていた。

「僕はファジアーノ岡山の結果だったり(チェックを怠らない)。いち岡山県民(佐野の出身は津山市)としてもJ1は悲願。別にサッカー選手だからというわけではなく、岡山県民の一人として応援しています。自分が成長させてもらったクラブですし、絶対にJ1に上がってほしいと思ってます。選手たちにそんなに連絡とかしてませんが、岡山県民として本当に応援してます」

 アヤックス戦の佐野はデイビー・クラーセンと飽くなき1対1を繰り広げた。一見、ボールを持つ佐野の方が優勢のようだったが、元オランダ代表MFは巧みなマークとコース切りで、佐野に縦へのパスを許さなかった。

「(クラーセンは)すごくポジショニングが良かった。別に彼のところにボールは行ってないですけれど、ボールが来たら良い場所にいるなというのがずっとあった。アヤックスはやっぱり全体を通してポゼッションがうまいし、いるべきところにいた。そういうところが凄かったと思います。

 アヤックスのああいう良いサッカーを自分たちもしていきたいし、自分のサッカー観にもどんどん入れ込んでいきたい。相手の選手からも学ぶことがたくさんあった」

【画像】アウェー山形に集結!PO決勝進出に沸いたファジアーノ岡山サポーター!

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