【担当記者の視点】失点は「僕のミス」と吉田。ただ他にも見逃せない問題が…

2016年06月06日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ピッチ中央に撥ね返した吉田のクリアは、一概にはミスとは言えない。

吉田(22番)のクリアを相手に拾われて失点につながったが、セカンドボールをキープできていればカウンターを発動できたはず。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 キリンカップの初戦、7-2の大勝を収めたブルガリア戦で2ゴールを決めた吉田麻也だが、本職の守備ではふたつの失点を許している。ディフェンスリーダーとしては、自らのゴールを喜ぶより、悔しい気持ちのほうが強いのかもしれない。
 
 試合後のミックスゾーンでは、「このような守備じゃ上にいった時に苦しい。改善しなくてはいけない」と反省の弁を述べている。
 
 ブルガリア戦の映像は確認済みだ。「全体的に守備はすごく良かった」としたうえで、失点の場面については、「2失点とも、自分たちのミスから」と言う。
 
 特に最初の失点に関しては、「僕の個人的なミス」と吉田は認めている。自陣での相手のスローインをヘディングでクリアしたが、ピッチ中央に撥ね返したボールを相手に拾われ、そこから一気にバイタルエリアを崩されてゴールを許している。
 
 吉田の対応はタッチライン際でのことだっただけに、中にクリアせず、そのまま外に出して一度、プレーを切っても良かった。その意味では、たしかに"個人的なミス"だった。
 
 ただ、それも結果論であって、吉田の戻りながらの難しい態勢でのヘッドでスローインをカットしたのはグッドプレーだったし、セカンドボールを味方がキープしていれば、ブルガリアは前掛かりになっていただけに、効果的なカウンターを発動できたかもしれない。
 
 そう考えれば、中にクリアしたのも一概には悪いとは言えない。リスクは高いかもしれないが、ボールを大事にする"つなぐ"意識は、効果的な攻撃を生み出すはずだ。
 
 スローインの場面で、他の選手たちがアラートになっていなかったのも問題だ。ジブコ・ミラノフがボールを投げ入れた瞬間、ゴールを決めることになるミハイル・アレクサンドロフ、中央で吉田のクリアを拾ったステファン・ベレフ、さらには逆サイドにいたゲオルギ・ミラノフまでもが、日本の選手たちよりも早く動き出している。
 
 サイドからペナルティエリアに向かって進路を取ったM・アレクサンドロフに対し、マークしていた酒井宏樹の初動は一歩、遅れた。このわずか0コンマ何秒の遅れが致命傷となり、相手を捕まえ切れず、目の前で失点を許すことになった。
 

次ページアシストしたベレフはまったくのフリーの状態だった。

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