【バイエルン番記者】ペップが最後に見せた涙。そしてアンチェロッティ新監督が描く新チームの構想とは?

2016年05月31日 パトリック・シュトラッサー

最後の最後で人間らしい一面を。

優勝を決めたDFBカップ決勝後、グアルディオラ監督は涙を流しながら選手と抱擁を交わした。(C)Getty Images

 DFBカップを制し、バイエルンで5つ目のタイトルを獲得したジョゼップ・グアルディオラ。スコアレスのままPK戦に突入したDFBカップ決勝戦、5人目のキッカーとして登場したドグラス・コスタがネットを揺らすと、グアルディオラは涙を流した。ストイックに仕事に取組み、ときに冷徹な印象さえ抱かせたスペイン人指揮官は、最後の最後で人間らしい一面を見せたのだ。

「すべてが終わって、ホッとしたんだろうね。ペップ(グアルディオラの愛称)の花道を飾れて、僕もうれしいよ」

 トーマス・ミュラーはそう言った。ただ、グアルディオラは決して満足していなかったはずだ。バイエルンを指揮したこの3年間、彼は一度も気を抜くことなく全力を尽くしてきたが、最大の目標であるチャンピオンズ・リーグ優勝には手が届かなかった。退任のセレモニーでも、「申し訳なかった」とファンに謝る姿が印象的だった。

 グアルディオラと別れを告げたバイエルンは、EURO2016決勝の翌日の7月11日から新シーズンをスタートさせる。チームを率いるのは、カルロ・アンチェロッティ新監督だ。

 アンチェロッティはグアルディオラ以上の成功を収められるか? 私は収められると思う。バルセロナでの指導歴しかなかった前任者より監督としての経験値ははるかに上で、スター選手の扱いにも長けているからだ。これまでユベントス、ミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリーと数々のビッグクラブを率いて、行く先々で成功をタイトルを獲得。世界広しといえども、これだけの実績を誇る監督はそうはいないだろう。

 アンチェロッティはかつてユップ・ハインケスがそうしたように、静かで落ち着いたアプローチでチームを導くだろう。戦術に固執したグアルディオラの後任としてはちょうどいいのかもしれない。このイタリア人監督の就任を歓迎しているのは、DFリーダーのジェローム・ボアテングだ。

「アンチェロッティは選手とたくさん話をするらしいね。うまくやっていけそうな気がしているよ。戦術的にも優れているし、なにより経験が豊富だ。彼と会える日を楽しみにしている」
 

次ページゲッツェとの交渉は長期化を避けられないか。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事