遅れてきたプラチナ世代の刺客。"強気"を貫く小林祐希がA代表の競争を活性化する

2016年05月31日 飯尾篤史

「本田二世」とも評される小林祐希。しかし本人は「本田圭佑は本田圭佑、小林祐希は小林祐希」

レフティで、トップ下なのに4番を背負い、強気なコメントや姿勢を貫くところは、どことなく本田圭佑を彷彿とさせる。(C)SOCCER DIGEST

 川崎の番記者や関連メディアで溢れかえる等々力陸上競技場のミックスゾーンで、アウェーチームの選手であるにもかかわらず、大久保嘉人や中村憲剛に負けないぐらいの報道陣に囲まれたのは、それだけ注目度が高まっている証だろう。
 
 日本代表に選出されたばかりの、磐田のMF小林祐希のことだ。
 
 久しぶりに現れた本格派の司令塔。プレーには"ファンタジスタ"の雰囲気も漂わせている。
 
 レフティで、トップ下なのに4番を背負い、強気なコメントや姿勢を貫くところは、どことなく本田圭佑を彷彿とさせる。
 
「オフェンスは国内でもかなりのクオリティがある」という日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の評価も期待感を高めるのに一役買っていて、本田の後継者になることへの期待も込めて、一部では「本田二世」と称されている。
 
 もっとも、小林自身はその呼び名に対し、違和感を覚えているという。
「本田圭佑は本田圭佑、小林祐希は小林祐希。重ねて見られるのはあまり。本田さんも、嫌なんじゃないかなって思います。それに、『プレースタイルが似ている』と言われていますけど、自分ではあまり似ていないと思っていて。自分はもっと細かいパスとかでリズムをつくったなかでプレーするタイプ」
 
「光栄です」とお茶を濁すのではなく、自身の見解をきっぱりと語れるところに、芯の強さがうかがえる。
 
 同級生の宇佐美貴史や柴崎岳とともに世代別の日本代表として活動し、十代の頃から将来を嘱望されてきた。だが、プロ入り後は東京Vや磐田でキャリアの大半をJ2で過ごし、スポットライトを浴びる機会が少なかったため、こんな初々しさも覗かせた。
 
「こういうの(注目されること)にも慣れないといけない。代表に入れば、プレーに対する要求や見る目が厳しくなるのは当然なので、そういうのにも打ち勝てるメンタルを代表の選手から学んだり、盗んだりして身につけていかないといけないと思います」
 
 親友の宇佐美から遅れること5年での初招集。24歳での日本代表初選出については「遅かった」と思っている。だが、「今年の目標の一番下のランクが『代表に入ってアピールすること』だったので、とりあえず達成というか、まだ達成ではないですけど、プラン通りです」と続けた。
 
 日本代表でやっていける自信はあるかと問われると、間髪入れずに「もちろん」と、ひと言だけ答えた。ハリルホジッチ監督が現れることを熱望する「本田、香川に続く存在」になれるかどうか。キリンカップでのプレーを楽しみにしたい。
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