【移籍専門記者】アトレティコの2大ターゲットはジエゴ・コスタとカバーニだ

2016年05月24日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

最大の補強ポイントであるCFに2人のうちいずれかを迎えようとしている。

今夏にアトレティコが狙っているD・コスタ(左)とカバーニ(右)。いずれも障害は少なくないが、はたしていずれかを獲得できるか?(C)Getty Images

 目標は常に向上を続けること、そして勝利のメンタリティーを失わないこと――。もたらされた結果は、誰の目にも明らかだ。過去3シーズンで二度のチャンピオンズ・リーグ決勝進出、そしてリーガ・エスパニョーラ優勝も1回。ベンチにディエゴ・シメオネが座っている限り、アトレティコ・マドリーは不安に駆られることなく前を向き、野心を抱いて戦い続けることができる。
 
 5月28日にチャンピオンズ・リーグ決勝を控え、まだシーズンの結末が見えていないにもかかわらず、クラブはすでに来シーズンに向けた準備に取りかかっている。
 
 メルカートに目を向けた時に浮かび上がる問いは、いたってシンプルだ。これだけ競争力のあるチームの戦力をさらに高めることができるのは、いったい誰なのか? 
 
 最大の補強ポイントはCFだ。エースに成長したアントワーヌ・グリエーズマンは現時点で売るつもりがないし、今夏で契約切れのフェルナンド・トーレスも契約延長が濃厚になったが、冬にジャクソン・マルティネスを中国に売却し、ルーカス・ビエットも鳴かず飛ばずだけに、前線には実力派がもう1枚必要だ。
 
 リストアップされている名前は2つ。ファーストチョイスは、今なおサポーターから愛されているジエゴ・コスタだ。彼をチェルシーから呼び戻すのが難しい場合には、シメオネのお気に入りであるエディンソン・カバーニ(パリSG)にターゲットを切り替える算段を立てている。
 
 攻守両局面で献身的なプレーを見せながら、ゴール前では決定的な違いを作り出すモダンなストライカーであるカバーニを、シメオネは高く評価している。カバーニはズラタン・イブラヒモビッチの退団でパリSG残留の芽が出てきたし、新天地を求めるにしてもチェルシー、ユベントス、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティなど獲得を望んでいるクラブは少なくない。簡単なディールではないだろう。
 
 ただ、アトレティコとカバーニはすでにファーストコンタクトを済ませており、機が熟せばいつでも具体的な話し合いに入る用意ができている。ライバルを出し抜く可能性はある。
 
 いずれにしても、優先順位はシメオネのサッカーを知り尽くしているD・コスタにある。チェルシーのアントニオ・コンテ新監督は残留を望んでいるが、本人が古巣復帰を熱望すればどうなるか分からない。
 
 D・コスタとカバーニのどちらを獲得しても、シメオネは満足し、アトレティコはさらに強化されるに違いない。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にグアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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