「新たな東京の歴史を作りたい」――。クラブ史上初のACLベスト8進出へ“ファイター”橋本が燃える

2016年05月24日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「『絶対に勝つ』という強い気持ちで戦って、新たな東京の歴史を作りたい」

クラブ史上初となるACLベスト8進出へ。フィジカルに絶対の自信を持つ橋本は「球際でバトルする回数を増やしたい」と力強く語った。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

「高いモチベーションを保てています」
 
 そう話す橋本拳人の表情には充実感が滲み出ていた。それは、U-23日本代表でリオ五輪メンバー入りを懸けて戦えているからであり、5月17日のACLラウンド16・第1レグでフル出場を果たせたのが一因だろう。特に、元ブラジル代表FWのエウケソンやアルゼンチン人MFのダリオ・コンカら強力な戦力を誇る上海上港との対戦は、大きな刺激になったという。
 
「Jリーグで戦えない相手で、本当にレベルが高いと思いました。アジアで勝ち抜くには厳しい戦いになると感じたし、自分ももっともっとレベルアップしないといけない」
 
 第1レグでは本来のボランチではなく、不慣れな右SBで出場し、フィジカルの強さを活かしてルー・ウェンジュンからボールを奪うなど及第点の働きを披露。試合後、城福浩監督から「橋本は高いユーティリティ性を持っている。プレッシャーのかかる試合で、さらに個の強い相手と対峙し、よく戦った」と評された。しかし、何度か裏を取られる場面もあり、世界基準を目指す本人の自己評価は「ポジショニングと周囲との連係が駄目だった。課題のほうが見えた試合」と厳しい。
 
 5月の代表活動でも、手倉森誠監督から「(主将の遠藤)航の存在を忘れるくらいの活躍だった」と高い評価を受けた際も、逆に「チームで試合に出て、もっと活躍しないといけない危機感を覚えた」と話している。リオ五輪のメンバー入りに対する気持ちが日々強くなっていくからこそ、「ここから先は、チームでのプレーが大事になってくる」のだと。
 
「代表から戻ってきて、普段のトレーニングでもより『世界』を意識するようになりました。判断のスピードや球際は、世界ではもっと凄いはず。自分もフィジカルには自信を持っているので、球際で"バトル"する回数を増やしていきたい」
 
 U-23日本代表は現在、フランスで行なわれているトゥーロン国際大会に参戦している。世界を体感できる貴重な場だけに、行きたかった気持ちがないかと言えば嘘になるだろう。それでも、橋本は「僕にはACLがある」と目の前の戦いに集中力を高める。ホームでの第1レグを2-1で勝利し、引き分け以上でクラブ史上初となるACLベスト8進出が決まるのは、大きなモチベーションだ。
 
「アウェーで(第1レグよりも)さらに厳しい戦いになると思います。まずはメンタルで負けないこと。『絶対に勝つ』という強い気持ちで戦って、新たな東京の歴史を作りたい」
 
 攻守でアグレッシブなプレーを見せ、ACLベスト8進出の切符を勝ち獲る――。その先には、必ずやリオにつながる道が待っているはずだ。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト編集部)
 
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