【鹿島】数針を縫った傷も「問題ない」。横浜をシャットアウトした植田が、世界と戦うトゥーロンで試してみたいこととは?

2016年05月15日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「ゼロで終わらせる気持ちしかなかった」(植田)

目の上の傷も気にせず、アグレッシブな守備で完封勝利に貢献。エアバトルでは盤石の強さを発揮した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 対横浜戦は13年8月から5連勝中で、直近2試合はいずれも完封勝利を収めている。そんな"お得意様"を相手に、鹿島は開始早々に柴崎のFKを金崎がヘッドで押し込み、幸先良く先制に成功する。結果的にこのゴールが決勝点となり、1-0のスコアでJ最速となるホーム通算250勝目を挙げた。

 この日のLIXIL賞(ユニホームの胸スポンサーである(株)LIXILプレゼンツのマン・オブ・ザ・マッチ)には、再三に渡るファインセーブを見せたGKの曽ケ端が選ばれたように、持ち味の守備力が際立つゲーム内容だった。総失点7はリーグ2位の数字で(1位は浦和の同6)、最終ラインの充実ぶりがうかがえる。

 1点リードで迎えた後半は、横浜にペースを握られて、劣勢の時間帯が長かった。齋藤やマルティノスといった突破力に秀でるアタッカーに両サイドを抉られては、危ない場面を作られた。
 
 それでも、ゴール前ではやらせなかった。際どいクロスを上げられても、確実に撥ね返してみせる。失点してもおかしくないシーンもあった。だが、相手のミスに助けられた部分はあったにせよ、それも素早い寄せで自由に打たせなかったからこそ、無失点で切り抜けられたのだろう。
 
「ゼロで終わらせる気持ちしかなかったので、それだけを考えていました」
 
 開幕からCBの不動のレギュラーとして、ここまでフルタイム出場を続けている植田は、シンプルに試合を振り返った。右目の上には、3日前にU-23代表として出場したガーナ戦で負傷した傷跡が残る。数針を縫ったが、本人は「別に問題ないです」と気にもとめていない。
 
 屈強なフィジカルを活かしたハードなディフェンスは健在で、エアバトルにも臆せず挑み、高い勝率を誇った。対人の強さはもちろん、次の展開を予測した的確なポジショニングも光っていた。とりわけ、CBでコンビを組む昌子がSBのサポートで横ズレした際には、「空けたスペースを(植田が)しっかりと埋めてくれていた」(昌子)。ボールがないところでの動きは著しく成長している印象で、「いつもやっているので」(植田)という昌子との連係も試合を重ねるごとに安定感を増してきている。
 

次ページ強豪国との対戦でさらなるグレードアップを目指す。

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