【FC東京】味スタで“新旧”指揮官が激突。城福監督を待っているのは天国か地獄か

2016年05月12日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

鳥栖に敗れればこれ以上の屈辱は…。

前任者フィッカデンティ率いる鳥栖との一戦は、ひとつのターニングポイントと言えるかもしれない。城福監督を待っているのは…。写真:(C)サッカーダイジェスト

 ACLのビン・ズオン戦に続き、5月8日の湘南戦も勝利。J1第1ステージ9節で福岡に敗れ、公式戦で5試合続けて白星なしという苦境に追い込まれて一時はどうなるかと思われたが、ひとつの危機を乗り越えたようだ。とりわけ、酷暑のアウェーでビン・ズオンを叩いてACLで4年ぶりにベスト16入りを決めたのは大きかった。

 福岡戦の後、選手たちが自主的に開いた緊急ミーティングで「互いに妥協せず、要求しあおう」と決め、監督も含めて一致団結できたおかげで湘南にも競り勝った。

 しかし、本当の試練は次の一戦かもしれない。なにしろ、5月13日にホームで迎え撃つのは、前任者のフィッカデンティが率いる鳥栖なのだ。

 昨季FC東京にクラブ史上最高勝点をもたらしたミステル(イタリア語で監督の意)が今回、味の素スタジアムで勝どきを挙げれば、城福監督にとってこれ以上の屈辱はないのではないか。

 断じて、フィッカデンティと城福監督の間に軋轢があるわけではない。

「クラブ史上最高の勝点を獲得したフィッカデンティをなぜ続投させなかったのか」という疑問を持つFC東京のファン・サポーターも見守るなかで、仮に鳥栖に敗れたら──。城福監督は、"前任者より下"との烙印を押され、再び厳しい局面に晒される可能性があるということだ。

 避けたいのは、FC東京の十八番とも言えるカウンターから失点を食らう展開。昨季にウノゼロ(1-0)を実践していたFC東京が、鳥栖に0-1で負ければそれこそ屈辱だ。

 逆に言えば、ここで白星を掴めれば城福監督は一気に株を上げることができる。5月17日の上海上港戦(ACL決勝トーナメント1回戦)に向けて弾みも付くだけに、鳥栖戦はまさに天国か地獄かの分かれ目になる一戦だろう。

 フィッカデンティから城福監督に政権交代したクラブの判断が正しかったのか。この一戦ではっきりと答が出るとまでは言わないが、鳥栖戦後のファン・サポーターの反応がひとつのそれになるかもしれない。

次ページ昨季まで強みだった部分を発揮できなければ元も子もない。

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