【プレミア現地コラム】テリーが退場で幕引き? チェルシーはキャプテンの扱いを誤った

2016年05月11日 山中忍

「控え室で呆然としたまま、慰めようもない状態」だった。

2試合の出場停止処分を受けたテリー。最終節、スタンフォード・ブリッジのピッチにキャプテンの姿はない。チェルシーでのキャリアは、本当にこのまま終わってしまうのか。 (C)Getty Images

  5月7日の17時過ぎ、試合前のキング・パワー・スタジアムにはアンドレア・ボチェッリの歌声が響いていた。優勝を記念してレスターに招かれたテノール歌手が熱唱するアリアを聞きながら、青いユニホーム姿の戦士が披露した勇姿の数々に思いを馳せていた。
 
 といっても、振り返っていたのはレスターの選手ではなく、チェルシーのあるレジェンドについて。17時前に終了したばかりのアウェーゲーム、サンダーランドとの一戦(2‐3)で、2枚のイエローカードを頂戴したジョン・テリーだ。
 
 残り2節というタイミングで受けた退場処分――。このペナルティーとして科された2試合の出場停止処分は、今シーズン二度目である。
 
 今年1月末、シーズン終了後に切れるチェルシーとの契約延長交渉がない旨を明かした35歳のCBは、これによりスタンフォード・ブリッジでサポーターに別れを告げられずにチェルシーを去ることが濃厚となった。
 
 フース・ヒディンク暫定監督いわく、テリーは「控え室で呆然としたまま、慰めようもない状態」だったという。当人は怪我で1か月半ほど戦線を離れる前の3月上旬に、「最後までチェルシー残留を諦めない」と語っていたが、その「最後」が訪れた心境だったに違いない。
 
 過去、敗戦後のミックスゾーンをテリーが無言で通り過ぎることがあると「キャプテンのくせに」と文句を言っていた記者陣も、この日ばかりは責める気にはなれなかっただろう。
 
 口を開いたチームメイトのネマニャ・マティッチは、「彼の功績と貢献は忘れない。全員が今後の幸運を祈っている」とコメント。まるで、はなむけの言葉である。
 

次ページ新契約の可能性を告げる方が、よほど非礼で残酷だ。

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