【リオ五輪代表】「戦う姿勢を見せるのは当たり前」。熊本男児の植田が秘める故郷への想い

2016年05月10日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「今回のチャリティマッチは、僕ら熊本出身が勇気を与えられる場所だと思う」

前日練習の紅白戦でも、身体を張った闘志溢れるプレーを披露。ガーナ戦に向けて、心身ともに充実している。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 今回の佐賀キャンプに、おそらく選手たちは並々ならぬ想いで臨んでいるだろう。なかでも植田直通は、最も強い想いを持つ選手かもしれない。リオ五輪本大会メンバー入りを懸けたサバイバルはもちろんのこと、11日に行なわれるガーナとの強化試合は、生まれ故郷である熊本の「震災復興支援チャリティマッチ」でもあるからだ。

【九州・熊本震災復興支援チャリティーマッチ@ガーナ戦 U23日本代表練習】

 キャンプ2日目の練習前に実施した募金活動には、大雨にもかかわらず参加者は約100人を数えた。植田は手倉森誠監督とともに先頭に立ち、笑顔と握手で感謝の気持ちを伝えた。その姿からは「熊本のために、できることをやりたい」という想いが伝わってきた。
 
「悪天候にもかかわらず、熊本から来たという方もいましたし、来て頂いたみなさんには感謝しています。本来は僕が元気を与えなきゃいけない立場なのに、逆に(僕を)心配して声をかけて頂いたりもしました」
 
 植田は4月18日、オフを利用して熊本に渡り、鹿島のチームメイトたちと被災地支援活動を行なった。故郷が傷つく姿に心を痛めながらも、改めて気づかされたのは、何不自由なくサッカーができている日々が"当たり前"ではないということ。恵まれた環境でプロサッカー選手として活動している現状に、これまで以上に喜びを感じるようになったという。
 
「良い環境でサッカーをやらせてもらっているのは当たり前のことかもしれないですけど、これが当たり前じゃなくなることも考えていかないといけない。僕は今、サッカーをできる喜びを感じています。熊本に行った時も、『サッカー頑張って』とたくさんの人に声をかけてもらいました。今回はチャリティマッチということで、僕ら熊本出身が勇気を与えられる場所。応援してくれる方たちのためにも、サッカーをできる幸せを感じながらプレーして、良い結果を残したいと思います」
 
 対戦するガーナに関しては、「ホテルに戻ってから映像を見せるつもり」(手倉森監督)ということもあって、「(相手の情報は)まったくないです」と煙に巻いたが、アフリカのチームのイメージを訪ねると、強い相手を前に武者震いするかのように力強い言葉が返ってきた。
 
「やっぱり身体能力は高いですよね。日本では味わえないようなことが味わえると思うので、ぜひとも経験しておきたい。(リオ五輪の)グループリーグでもアフリカ勢(ナイジェリア)と戦うので、そこに対しての良いシミュレーションになると思います」
 

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