【FC東京】流経大柏高時代の恩師が2年目・小川諒也の変化に驚く――堅実さのなかに貪欲さも

2016年05月10日 安藤隆人

恩師・本田裕一郎監督が見守った湘南戦で決勝点に絡む。

11節の湘南戦では、恩師の本田裕一郎監督が見守るなか、先発フル出場した小川。河野の決勝点につながる好パスで勝利に貢献した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 今やすっかりFC東京の左SBとして不動の存在になりつつある、プロ2年目の小川諒也。J1リーグ・第1ステージ11節の湘南戦でも、左SBとして先発フル出場し、チームの勝利に貢献している。

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 この試合で、小川の恩師がそのプレーぶりをスタンドから見守っていた。高校3年間を過ごした流通経済大柏高サッカー部の本田裕一郎監督が、教え子の活躍を見に、Shonan BMWスタジアム平塚まで足を運んだのだ。
 
「ちょっと気になってね」と、本田監督は教え子のプレーに熱視線を送った。その小川は立ち上がりから積極的なオーバーラップを仕掛け、クロスを送り込んでいく。
 
「今日は相手のフォーメーション的にもサイドバックが使うスペースが多いと思っていた。僕も積極的に上がって行こうと思っていた」と語ったように、3バックの相手に対し、サイドでイニシアチブを握りに行った。
 
 そして、20分、センターライン付近でMF田邉草民がインターセプトすると、小川もそれに反応し、田邉からのボールを前に出て受ける。ドリブルで少し運んだあと、利き足の左足でクロスを上げるべく、左足を振り上げた瞬間だった。
 
「最初はクロスを上げるつもりでテイクバックをしたけど、DFが寄って来ていたし、中央の状況を見てもコースがなかったのと、草民くんが良い形で走っていたので、もっと深い位置からクロスを入れた方が良いと判断をしました」
 
 クロスを上げると見せかけて、縦のスペースに走り出した田邉へ糸を引くようなパスを通すと、田邉はダイレクトでセンタリング。これをニアでMF河野広貴がヘッドで合わせた。小川のお膳立てから先制点が生まれた。落ち着いた判断に基づく正確なプレーに、「堂々とプレーしている。冷静に周りを見られる方だったからね」と本田監督もほほを緩ませた。
 
 後半に入ると、FC東京は徐々に1点を守りきる形にシフトしていったため、「敢えて上がらなかった。DFの4枚のバランスはあまり崩したくなかったので、リスクを冒してまで上がることはしませんでした」と、小川もチームプレーに徹したことで、見せ場はそこまで無かったが、堅実なプレーで失点を許さず、1-0の完封勝利に貢献をした。
 

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