【吉田麻也】"名古屋復帰"の可能性と"現在地"。「すべてはタイミング。どんな可能性も残っている」

2016年05月08日 松澤浩三

CBでは3番手。右SBとして「レギュラーを目指すくらいで」と意気込んでいたが…。

右SBでのプレーを前向きに受け入れていた吉田だが、マンチェスター・シティ戦でのミスを節目に出場機会は減っていった。(C)Getty IMages

 先月のことだが、日本の一部スポーツ紙で、吉田麻也の名古屋グランパスへの復帰の可能性について報じられていた。
 
 これはまず、吉田がサウサンプトンで置かれる現況を反映しての報道である。もし、レギュラーでバリバリ活躍している選手であれば、プレミアリーグからいきなり日本復帰の噂が出るはずがない。そう、残念ながら、今季の吉田は放出されても仕方ないパフォーマンスが続き、サウサンプトンでの立ち位置は安泰ではなくなっているからこそ吹き出た話である。
 
 今季開幕直後のリーグ戦で4試合連続先発出場し、レギュラーとしてシーズンをスタートした。しかし移籍市場ギリギリでセルティックからフィルジル・ファンダイクを獲得したロナルド・クーマン監督は、直後のWBA戦からこの同胞CBを起用。吉田は過去2季と同じ定位置であるCB3番手に降格してしまう。
 
 とはいえ、そのユーティリティ性とサッカーへ取り組む真摯な姿勢を高く評価する指揮官は、昨夏に購入した右SBのセドリックに満足していない様子だった。そのため日本代表CBにこのポジションでチャンスを与え、特に守備力が必要とされる格上との対戦の際に積極的に起用した。
 
 本人も「選手としての幅を広げるチャンス」と以前SBとして使われていた時に比べると大幅に前向きに構えて、右SBとして「レギュラーを目指すくらいで」と意気込みを見せていた。だが不慣れなポジションがゆえ、次第に苦しい戦いを強いられるようになる。
 
 象徴的だったのは11月下旬の対マンチェスター・シティ戦。敵の攻撃力を警戒したクーマン監督は右SBで吉田を起用するも、開始直後にいきなりラヒーム・スターリングにボールを奪われて先制点を献上。以降、吉田の先発出場機会は数えるほどで、プレータイム自体も大幅に減少した。そんななかでにわかに出始めたのが、吉田の移籍に関する噂である。
 
 今季も終わりに近づいた5月1日のマンチェスター・シティ戦。真相について話を聞く機会が訪れた。試合後、ミックスゾーンに顔を出した吉田は「試合に出てないんだから聞くことないでしょう!」といいながらも足を止め、冒頭の名古屋への移籍話についての真意も聞かせてくれた。

次ページあと2年残る吉田の契約。名古屋が高額な違約金を払うのであれば、「(自分より)もっと良い選手が取れると思う」。

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