プレミア最下位の市立船橋が復活! 3年連続のインターハイ出場決定。千葉頂上決戦で絶好調の流経大柏になぜ勝てたのか

2024年06月17日 松尾祐希

1-1で迎えた73分、伊丹が決勝弾

予選決勝で流経大柏に競り勝ち、インハイ出場権を勝ち取った市立船橋。写真:松尾祐希

 試合終了のホイッスルが鳴った瞬間、選手たちの笑顔が弾けた。誰もが感情を爆発させ、抱き合って喜びを分かち合う。守護神のGKギマラエス・ニコラス(3年)は感極まり、しばらくその場から動けなかった。

 6月16日に行なわれたインターハイ千葉県予選決勝。昨年に続いて、2種年代最高峰のプレミアリーグで鎬を削る市立船橋と流経大柏が顔を合わせ、頂上決戦に相応しい白熱したバトルを繰り広げた。

 結果は――プレミアEASTでは未勝利で最下位に沈む市立船橋が、同リーグで首位の流経大柏に2-1で勝利し、3年連続31回目の出場権を手に入れた。

「しっかりみんながやり続けてくれた」(中村健太コーチ)

 波多秀吾監督に代わり、指揮を執った中村コーチが目を細めたように、この日の市立船橋は今季一番のパフォーマンスだった。ここまでの苦戦を考えれば、想像を上回る出来だった。
 
 序盤から主導権を握られたが、チームは徐々に盛り返していく。ボランチのMF峯野倖(3年)を中心にセカンドボールを拾って素早く攻撃に結びつけ、カウンターを軸に相手ゴールへ迫る。

 一進一退の展開が続くなか、0-0で迎えた後半にスコアが動く。53分、GKニコラスがボールをキャッチすると、素早く左サイドに低弾道のフィードを送る。ボールを受けたFW伊丹俊元(3年)は少ないタッチで運んでクロスを入れ、ファーサイドに走り込んだFW久保原心優(3年)がダイビングヘッドでネットを揺らした。

 70分にCKから同点ゴールを与えたものの、集中力を切らさずに戦い続けた市立船橋は、73分に勝ち越す。セットプレーの崩れからセカンドボールを拾った左SB渡部翔太(3年)がクロスを供給。ゴール前でCB岡部タリクカナイ颯斗(3年)が頭で合わせ、CBギマラエス・カブリエルを経由したボールを、最後は伊丹が押し込んだ。

 このままリードを守り切り、インターハイ出場を決めた市立船橋。振り返れば、今季は春先から苦戦が続いた。昨年度の選手権でベスト4を経験したエースストライカーの久保原、主将を務める岡部、フィリピンの世代別代表歴を持つ守護神のニコラスが中心となる今年のチームは、期待が高かったものの、怪我人が続出した影響もあり、プレミアEASTでは開幕から8試合を戦って、いまだ白星はなし。インターハイ予選前の時点で2分6敗に留まり、1得点・17失点はいずれもリーグワーストとなっている。

 決して内容は悪くないが、一つのミスや失点をきっかけに崩れる悪癖が改善できない。さらに、第6節からGKニコラスと世代別代表歴を持つ中盤のキーマン峯野が負傷離脱し、チーム状況はより悪化した。攻撃陣も不振が続き、チャンスを作ってもゴールを奪えない。エースの久保原は大スランプでリーグ戦無得点と、気負い過ぎたゆえに決定機を決め切れていなかった。

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