【日本代表コラム】Jで最も点を取る男「大久保嘉人」は代表に必要ないのか!?

2016年04月27日 加部 究

大久保の実力には疑いがなく、成長曲線はさらに右肩上がり。

「(招集の)資格はある」とハリルホジッチ監督は語るが、果たして今後、大久保の代表招集はあるのだろうか。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 3年連続でJリーグ得点王を獲得し、今季も8節終了時で5ゴールとコンスタントな結果を残している。いま、日本国内で大久保嘉人を差し置いて得点を期待できる選手は他にいないだろう。しかし、現実には33歳のストライカーはいまだ日本代表のハリルホジッチ監督から招集を受けていない。ネックとなるのは年齢なのか、スタイルなのか――。
 
「大久保の代表招集は現実的ではない」と語るのはスポーツライターの加部究氏だ。そう分析する要因とはなにか。大久保ではないとすれば、誰が日本代表のアタッカーとして相応しいのか。
 
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 代表の主力クラスが欧州へ出て行くのは、極東の輸出国の宿命だ。逆にJリーグは働き盛りが空洞化するので、どうしてもいぶし銀にスポットライトが当たりやすくなる。実際に中村俊輔、中村憲剛、遠藤保仁らはピッチに立つと経験と技術に裏打ちされて、格別な自己表現を見せつけている。若くして同じようにアピールできる選手たちは海外へと飛び立っていくわけだから、ベテラン優勢は必然の流れでもある。
 
 しかしさすがに俊輔や憲剛の日本代表復帰待望論が沸き上がらないのは、同じポジションの欧州組がそれなりに元気だからだろう。一方で昨年のアジアカップからワールドカップ2次予選にかけて、矢のようにシュートを浴びせながら結実しない試合が続くと、どうしてもFWには元気なベテランを待望する声が高まって来る。プレミア制覇目前の岡崎慎司の活躍は誰もが認めるところだが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が探し求める典型的な9番ではないし、レスターでのゴール数も少ない。せっかくJリーグに3年連続得点王がいるなら、せめてオプションとして加えておくべきだと考えても不思議はない。
 
 大久保嘉人の実力には疑いがない。現状で日本のトップストライカーである。しかも30歳を過ぎて川崎に来てからは、さらに成長曲線の右肩が上がった。だがハリルホジッチ監督は、今だけを考えてチーム作りを進めているわけではない。せめてワールドカップ本番で、前回大会のアルジェリア並みの成績を望めなければ、同監督を招聘した意味がない。つまりピークは2年後に作らなければならないわけだ。その時36歳になる大久保が、日本で最高級の活躍をできるのか。そこが代表招集の是非を決める原点になる。
 

次ページ守備戦術を重視した場合、大久保のトップでの起用は考えにくい。

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