シュツットガルト戦で見えた、香川が得点を量産できている理由

2016年04月24日 山口裕平

「監督は調子が良い選手は出し続けるタイプなのかな」(香川)

良い位置で、良いかたちでボールを受けられるようになり、香川の得点機は増えた。この調子を最後まで持続できるか。 (C) Getty Images

 香川がシーズン終盤になって、再び調子を上げている。
 
 ブンデスリーガ第31節のシュツットガルト戦で公式戦5試合連続となる先発出場を果たした香川は、21分に先制点を奪って3-0の快勝に貢献した。
 
 リーグ戦では最近6試合で4ゴールとハイペースで得点を積み重ねており、今シーズンのリーグ戦得点数を8として2桁得点も視界に入ってきた。
 
【試合レポート】シュツットガルト 0-ドルトムント
 
 ミッドウィークにDFBカップ決勝進出を果たしたドルトムントにとって、この試合の重要度はそれほど高くはなかった。すでにリーグ戦での2位以上は確定している。勝って首位バイエルンにプレッシャーをかけたいとはいえ、逆転優勝は現実的ではない――。
 
 そのような状況で、11日間で4試合に先発している香川の疲労が考慮される可能性は十分に考えられたが、トゥヘル監督は彼を先発で送り出した。
 
 先制点を奪ったのは、その香川。21分、ロイスとのワンツーパスで左サイドを突破したムヒタリアンのグラウンダーのアーリークロスを、右足で合わせた。相手DFが死角となってボールが突然飛び出してきたようなかたちとなったが、しっかりと当てることだけに集中して確実に押し込んだ。
 
 シーズン後半戦に入ってからはドルトムント対策としてゴール前で守備を固めてくるチームが多かったが、シュツットガルトは守備重視の戦いを選択しなかったため、立ち上がりからドルトムントの前線には何度もボールが供給された。
 
 後方での組み立てに参加する必要がないため、香川もゴールに近い位置でプレーすることができ、10分にもプリシッチのクロスに飛び込んでシュートを放っていた。
 
 何でもないようなプレーにも見えるが、チームの攻撃が機能し、香川もより得点を意識してゴールに近い位置に走り込んでいることが、このところゴールを量産できていることの要因だと言える。
 
 56分に生まれた3点目のシーンでも、右サイドからドリブルを始めたプリシッチに相手が気を取られるなかで、左サイドに走り込んでフリーとなり、落ち着いてラモスにクロスを供給。ラモスのヘディングはGKにセーブされるも、こぼれ球をムヒタリアンが押し込んだ。
 
 5試合連続の先発出場となった香川だが、この試合はドルトムントが前半のうちに2点のリードを奪うことができ、後半も早い時間帯にリードを広げたため、そこまで負担は大きくならなかったようだ。
 
 トゥヘル監督のこの判断について香川は、「監督はそういうリズムを大事にすると思うので、調子が良い選手は出し続けるタイプなのかなと、今日の試合も含めて感じました」と見ている。
 
 ここからのドルトムントは、数字上は可能性の残るリーグ優勝を狙いつつも、1か月後に行なわれるDFBカップ決勝のバイエルン戦に向けて照準を合わせていくことになる。
 
 それまでは週1試合のペースとなるため、選手をローテーションする必要もなく、今後は選手とチームの調子を上げていくことが焦点となる。
 
 そんななか、シーズンの終わりへ向けて再び調子を上げている香川に求められるのは、この好調を維持すること、そして打倒バイエルンのためにさらにパフォーマンスを高めていくことだ。
 
現地取材・文:山口 裕平
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