「本当にもっと早く来たかった」躍進NECの小川航基&佐野航大が“欧州挑戦1年目”で実感した収穫と課題。「僕の人生にとってなかなかの1年間でした」【現地発】

2024年05月25日 中田徹

相手の挑発に乗った佐野は「作戦に乗っかってしまった…」

NECの快進撃をともに牽引した小川(奥)と佐野(手前)。残念ながら欧州カップ戦行きは掴めなかった。(C)Getty Images

 NECはKNVBカップ決勝戦でフェイエノールトを相手に0対1の惜敗を喫して準優勝。オランダリーグでは5位アヤックスに勝点3差及ばずの6位に終わり、NECは2度のヨーロッパリーグ行きのチャンスを逃していた。しかし、プレーオフ経由でカンファレンスリーグへ進む道はまだ残っている。NECは5月23日、ホッフェルト・スタディオンに9位ゴー・アヘッド・イーグルを招いてプレーオフ準決勝を戦った。
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 先制点はNEC。57分、右スローインからサイドを崩し、ロベルト・ゴンザレスのクロスに小川航基が飛び込んで潰れ、その裏で待ち構えた佐野航大がヘッドで決めた。

「やっぱり(小川)航基くんにマークが集中しているので、自分に対するマークの甘さを感じていた。後半最初に似たようなシーンがあったんですが決め切れず、CKになった。だから、あそこは自分のところに来ると思った。ヘディングはあまり得意じゃないんですが、いい形で流し込めました」(佐野)

 潰れ役となった小川は、相手DFともつれた際に腰を強打して倒れていたため、佐野のゴールシーンを見てなかったという。

「やっぱり僕ら(NEC)は...、というかオランダではクロスからああいうチャンスが生まれる。僕はそこに入っていけるし、航大はああいうところ(=小川の背後)に入ってこれる。そこでゴールを奪い切る能力が今年、航大に付いたと思います」(小川)

 これで佐野は3試合連続ゴール。今季通算6ゴール目(リーグ戦4点。プレーオフ1点。カップ戦1点)だ。しかし、佐野のビューティフルゴールも実らず、NECは1対2の逆転負け。後半、アディショナルタイムには、相手チームの選手が交代でゆっくりベンチに戻ろうとしたため、佐野が背中を押したところ両者がにらみ合う格好となり、両軍入り乱れてのもみ合いを誘発した。

「僕、もう無意識だったんで...。普段はそんなことやらないです。J2で一度あったので初めてではないですが...。アディショナルタイムで、チームは負けていた。あそこで僕が時間を使ってしまったのは反省点。相手の作戦に乗っかってしまった...」(佐野)

 こうしてNECはプレーオフ決勝進出ならず、来季の欧州カップ戦出場を逸してしまった。

「悔しいです。確かに点は獲ったけれど、ただ悔しいだけです...」(佐野)

「『チームとしていいシーズンだった』と言われるかもしれない。しかし結局は何もなし得てないわけで、満足できるようなシーズンではなかったのかな...」(小川) 
 
 佐野によると、ベテランMFラッセ・ショーネがロッカールームでこうスピーチをしたという。

「今は残念な感じだけれど、振り返れば今シーズンは素晴らしかった。ここで終わってしまうのは悲しいかもしれない。だけどみんな顔を上げるんだ」(ショーネ)

 オランダ初年度の佐野は後半戦に入ってから試合に絡みだすと、瞬く間にチームの中心になり、フォルクスクラント紙の「今、オランダリーグで最も魅力的な選手11人」に名を連ねた。

「欧州1年目。航基くんには本当にお世話になりました。最初の頃は試合に出られず、半シーズンで6点というのは悪くないとは思いますけど、 もっとアシスト(3)を伸ばして、ゴール・アシスト両方できる選手になりたい。だから満足せずに来季も頑張ります」(佐野)

次ページ「自分にはそうしたタフさみたいなところがまだまだ足りないんだと思う」(小川)

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