「ネガティブな気持ちは、自分の中で押し殺した」湘南GKソン・ボムグンが苦しんだ今季の序盤戦を回想

2024年05月10日 岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

広島戦で一発レッド

鳥栖戦でチームの今季ホーム初勝利に貢献したソン・ボムグン。写真:滝川敏之

「正直、気分が良くない時期もありました」

 湘南ベルマーレのGKソン・ボムグンにとって、2024年シーズンの序盤は苦難の時期だったと言える。

 背番号1は今季、1月12日にカタールで開幕したアジアカップに韓国代表の一員として参戦。韓国が2月7日の準決勝まで勝ち残ったため、ソン・ボムグンは湘南で開幕前の活動にほとんど帯同できないまま、Jリーグ開幕を迎えた。

 2月24日、開幕戦の川崎フロンターレ戦でゴールマウスに立ったのは、富居大樹だった。短時間でのコンディション調整に苦労したソン・ボムグンは、ベンチに座った。

 ようやく調子が上向きはじめた頃、3月30日の第5節・セレッソ大阪戦で今季初出場を果たすも、チームは0-2で敗北。中3日で開催された第6節・東京ヴェルディ戦も先発したが、1-2で敗れた。

 自身の状態は悪くないが、チームの結果につながらない。もどかしさを感じるソン・ボムグンに、追い打ちをかけるような出来事が、第7節・サンフレッチェ広島戦で起こってしまう。
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 48分、ボックス内に侵入した大橋祐紀に対応するも、相手を抱え込むような形で倒してしまい、PKを献上。ソン・ボムグンは決定機阻止の判定でレッドカードを受け、23年の湘南加入後初の一発退場となった。

 広島戦では自らが与えたPKでの失点を含み2失点。試合は0-2で敗れた。また、出場停止中の翌節・横浜F・マリノス戦(2-2)では、GK馬渡洋樹が主にビルドアップの面で好プレーを見せ、その後のリーグ戦3試合にスタメン出場。ソン・ボムグンの次のJ1での出番は、5月3日の鹿島アントラーズ戦まで遠ざかった。

 思うように活躍できなかった序盤戦を、ソン・ボムグンは次のように振り返る。

「選手なら、試合に出たいと思うのは当たり前です。ただ、出られない時期も決して腐らず、"次は絶対に自分が出てやる"という熱意を練習から表現しなければいけません。

 ネガティブな気持ちは、自分の中で押し殺した。思いを外に表現してしまうと、周囲だけでなく、自分にとっても良くないです。メンタルを安定させて、考えを整理しなければいけない。出場機会が巡ってくると信じて、しっかりと準備をしました」

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