ここぞを見極める手腕は見事
6試合ぶりの白星を喜ぶ。クラブに関わる人たちが一丸となって勝ち取った勝利だった。(C)SOCCER DIGEST
[J1第11節]川崎 3-1 浦和/5月3日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
「良かった。本当に勝てて良かった」
安堵したようにそう語ってくれた。
試合後に鬼木達監督の満面の笑みを見たのはいつぶりだろうか。それほど今季は苦しい時期を過ごしてきた。
前節までの順位表を見れば降格圏と勝点1差。記者陣の間でも、その話題ばかりが挙がっていた。現時点でも状況は大きく変わったわけではない。それでも首位とも勝点10差。
指揮官は常に前を見続けた。
「今の順位はそこまで気にしていない」
「僕らが常に目指しているのは優勝。上しか見ていない」
その姿勢にブレはなかった。
今オフは登里享平、山根視来らが新たな挑戦として移籍を選び、またも主力がチームを去った。その意味で大きな新陳代謝が求められたが、リーグ開幕前に悲願のACL制覇へラウンド16を迎える難しいスケジュール。新戦力が多い中でも急ピッチでチーム作りを進めた。
しかし、ACLではまさかの敗退。リーグでも黒星が先行した。だが、指揮官の目にはしっかり未来の絵が描かれていたかのように、焦らず、一歩一歩「積み重ね」を強調してきた。
そして連戦に入るこのタイミングをひとつの重要な局面だと捉えた。まさに勝負師の勘と流れを見極める目を生かす時だった。
【動画】川崎・佐々木旭の圧巻のミドル&家長昭博のダメ押し弾
「良かった。本当に勝てて良かった」
安堵したようにそう語ってくれた。
試合後に鬼木達監督の満面の笑みを見たのはいつぶりだろうか。それほど今季は苦しい時期を過ごしてきた。
前節までの順位表を見れば降格圏と勝点1差。記者陣の間でも、その話題ばかりが挙がっていた。現時点でも状況は大きく変わったわけではない。それでも首位とも勝点10差。
指揮官は常に前を見続けた。
「今の順位はそこまで気にしていない」
「僕らが常に目指しているのは優勝。上しか見ていない」
その姿勢にブレはなかった。
今オフは登里享平、山根視来らが新たな挑戦として移籍を選び、またも主力がチームを去った。その意味で大きな新陳代謝が求められたが、リーグ開幕前に悲願のACL制覇へラウンド16を迎える難しいスケジュール。新戦力が多い中でも急ピッチでチーム作りを進めた。
しかし、ACLではまさかの敗退。リーグでも黒星が先行した。だが、指揮官の目にはしっかり未来の絵が描かれていたかのように、焦らず、一歩一歩「積み重ね」を強調してきた。
そして連戦に入るこのタイミングをひとつの重要な局面だと捉えた。まさに勝負師の勘と流れを見極める目を生かす時だった。
【動画】川崎・佐々木旭の圧巻のミドル&家長昭博のダメ押し弾
前節の広島戦は2ー2のドローで終えたが、こう振り返っていた。
「このゲーム(広島戦)は自分たちにとって大きなゲームだと話をして送り出しました。と言うのも、これは経験なのか、勘なのか分かりませんが、今日のゲームはチャンスだと思っていました。今日のゲームでしっかりチャンスを掴まなくてはいけない、それは全身全霊で戦って勝点3を取ることによって自分たちが目指している、てっぺんに辿り着くためのキッカケにするゲームにしたいという想いと、そういう風にできるんじゃないかとこれまでの彼らの取り組みを見て、そういう話をしました。
なので勝点3まで辿り着かなかったですが、それでも次につながる闘志の部分だとか、目に見えない部分、数字で表われない部分が重要になってくると思いますので、そこで引き続き勝負していきたいです」
勝ち切れなかったものの、選手たちは大いに燃えていた。
そして浦和戦の前には、指揮官はさらにチームのモチベーションを高める行動に出た。
トレーニング後、普段は選手、コーチ陣で行なう円陣に、負傷者や全スタッフも呼び、クラブ全員で気合いを入れ直したのだ。その際、あるスタッフからの感動的なスピーチもあったという。
だからこそ浦和戦は指揮官にとって何より嬉しい勝利であったのだろう。
「前節の広島戦から、勝負はここだという話を選手にはしていました。ただ、選手にはしていましたが、クラブ全員でというところまではなかったので、本当に全員でという話を昨日しました。出ている選手だけではなくて、すべての選手がこの勝利に関わったと思いますし、自分自身もこの5月でしっかりと巻き返すというか、まくるという思いを選手にずっと伝えているので、その一歩目を踏み出せたのが非常に良かったと思います。もうとにかく次に自分も向かっていますし、選手もコンディションをしっかり整えて、勝点3を積み重ねていくことが大事だと思っているので、そこにとにかく集中したいです」
中2日で迎える次の福岡戦でも勝点を得なくては意味がない。浦和戦も数字がすべてではないがポゼッション率で相手に上回られた。これからも一進一退の状態が続いていくはずだ。キーマンの家長昭博も「ひとつ勝ったが、いまも苦しい状況」とチームを引き締めている。
それでも6試合ぶりの白星は、単なる一勝以上の意味があったようにも感じる。ここからの巻き返しにぜひとも期待したい。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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「このゲーム(広島戦)は自分たちにとって大きなゲームだと話をして送り出しました。と言うのも、これは経験なのか、勘なのか分かりませんが、今日のゲームはチャンスだと思っていました。今日のゲームでしっかりチャンスを掴まなくてはいけない、それは全身全霊で戦って勝点3を取ることによって自分たちが目指している、てっぺんに辿り着くためのキッカケにするゲームにしたいという想いと、そういう風にできるんじゃないかとこれまでの彼らの取り組みを見て、そういう話をしました。
なので勝点3まで辿り着かなかったですが、それでも次につながる闘志の部分だとか、目に見えない部分、数字で表われない部分が重要になってくると思いますので、そこで引き続き勝負していきたいです」
勝ち切れなかったものの、選手たちは大いに燃えていた。
そして浦和戦の前には、指揮官はさらにチームのモチベーションを高める行動に出た。
トレーニング後、普段は選手、コーチ陣で行なう円陣に、負傷者や全スタッフも呼び、クラブ全員で気合いを入れ直したのだ。その際、あるスタッフからの感動的なスピーチもあったという。
だからこそ浦和戦は指揮官にとって何より嬉しい勝利であったのだろう。
「前節の広島戦から、勝負はここだという話を選手にはしていました。ただ、選手にはしていましたが、クラブ全員でというところまではなかったので、本当に全員でという話を昨日しました。出ている選手だけではなくて、すべての選手がこの勝利に関わったと思いますし、自分自身もこの5月でしっかりと巻き返すというか、まくるという思いを選手にずっと伝えているので、その一歩目を踏み出せたのが非常に良かったと思います。もうとにかく次に自分も向かっていますし、選手もコンディションをしっかり整えて、勝点3を積み重ねていくことが大事だと思っているので、そこにとにかく集中したいです」
中2日で迎える次の福岡戦でも勝点を得なくては意味がない。浦和戦も数字がすべてではないがポゼッション率で相手に上回られた。これからも一進一退の状態が続いていくはずだ。キーマンの家長昭博も「ひとつ勝ったが、いまも苦しい状況」とチームを引き締めている。
それでも6試合ぶりの白星は、単なる一勝以上の意味があったようにも感じる。ここからの巻き返しにぜひとも期待したい。
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