【ヨーロッパリーグ】攻守で効果的だった香川の交代とその後の逆転負けの関係は!?

2016年04月15日 遠藤孝輔

プレスで相手を苦しめ、スプリントで味方にスペースを提供。

1点目の起点となるなど、攻撃では序盤から効果的なプレーを見せた。 (C) Getty Images

 4日前のシャルケとのルール・ダービーで鮮烈なループシュートを決めた香川だが、ドイツ・メディアのあいだでベンチスタートが有力視されていた。
 
 しかし、ドルトムントのトゥヘル監督は、リバプールとのヨーロッパリーグ(EL)準々決勝・第2レグに、その日本代表MFをスタメンとしてピッチに送り込んだ。
 
 4-1-4-1システムの左インサイドハーフに配された香川は、立ち上がりから敵陣の深い位置への侵攻に成功する。
 
 まずは2分、DFラインの裏に抜け出すと、ゴールラインぎりぎりのところから中央にラストパスを供給。このボールは味方に通らなかったが、質の高い動き出しで大きなチャンスを作りかけた。
 
 先制点の起点となったのは、そのわずか3分後だ。
 
 ハーフウェイラインを越えたあたりでパスを受けると、バイタルエリアまでドリブルで突き進む。そして、相手2人を十分に引きつけてからフリーのカストロにパスを通し、最後はムヒタリアンがこぼれ球を詰めることになるゴールのきっかけを作った。
 
 32分には、香川自身にゴールのチャンスが到来する。カストロの浮き球のパスに反応し、エリア内からヘディングシュート。これはリバプールの守護神ミニョレに難なくキャッチされたものの、改めて動き出しの良さを見せつけた。
 
 2点リードで迎えた後半はリバプールの攻勢が強まり、香川もディフェンスに奔走せざるをえなくなる。それでも一切の手抜かりはなく、絶えず動き回っては相手のパスコースを遮断。ボールを奪い切れなくてもプレスをかけ続けることで、敵にスムーズなビルドアップを許さなかった。
 
 そうした献身的な働きは確実に効いていたはずで、実際、リバプールのボランチを務めたジャンなどは、何度か繋ぎの局面で軽率なミスを犯していた。
 
 もちろん、守備だけに精を出していたわけではない。冴えていたのはボールを保持していない時の動きだ。ここぞという場面でスプリントしては味方のパスコースを広げる黒子的な働きを、77分に交代するまで懸命に繰り返していた。
 
 確かに、ダービーの時のような目に見えるような結果は残せなかった。しかし、サボることなくチームプレーに徹していた香川がピッチを退いた後、ドルトムントが逆転負けを喫したのは必然だったのかもしれない。
 
文:遠藤 孝輔
 
◎EL準々決勝・第2レグ結果
リバプール 4-3(1-1) ドルトムント
シャフタール・ドネツク 4-0(2-1) ブラガ
スパルタ・プラハ 2-4(1-2) ビジャレアル
セビージャ 1(5PK4)1(2-1) アスレティック・ビルバオ
※括弧は第1レグのスコア
準決勝進出チーム:リバプール、シャフタール・ドネツク、ビジャレアル、セビージャ
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