【新潟】磐田戦の先制直後のPK献上。状況を一変させた失点はなぜ起きたのか?

2016年04月11日 大中祐二

前半アタッキングサードまで攻め込む回数は新潟が上回っていた。

磐田のジェイと再三渡り合ったCBの増田。昨季は町田のJ2昇格に貢献し、今季レンタル復帰。後半途中まではプラン通りの展開だったが……。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 先制ゴールの歓声が収まらぬうちに、磐田のキックオフから一度もマイボールにできず、与えてしまった同点PK。まだまだチームが成熟していないことを、端的に物語っていた。
 
 新潟は前半、ほぼ狙い通りに試合を進めていた。FW指宿洋史をターゲットに置く4-1-4-1ではなく、4-4-2で試合は始まった。ラファエル・シルバ、山崎亮平というスピードのある2トップに、高く設定された磐田のディフェンスラインの背後を突かせるためだ。
 
 13分、加藤大の直接FKから増田繁人が頭で合わせた決定的な場面も、自陣から小林裕紀が右奥のスペースにロングボールを送り込み、そこに流れて受けた山崎亮平が反則を誘ったのが伏線となっていた。
 
 守っても、磐田の1トップ、ジェイへのロングボールに対して、チャレンジ&カバーのセオリーが徹底されていた。自身への厳戒態勢を嫌がり、ジェイもポジションを変えながらボールを収めようと試みるが、大野和成、増田のCBが常に付いて回り、思うようにプレーできない。なかなか攻め手を見いだせない前半の磐田が新潟GK守田達弥を辛うじて脅かしたのは、37分の小林祐希のミドルシュートだけだった。
 
 背後へのロングパスをチラつかせつつ、最終ライン、中盤でボールを動かし、磐田を揺さぶる。アタッキングサードまで侵攻する回数は、新潟のほうが上回っていた。しかもハーフタイム、吉田達磨監督は選手たちに、「シュートを打ち急ぐことはない。慌てずにボールを動かしていこう」と、さらに磐田を焦らすことを求めた。
 
 吉田監督は折に触れて、「スタジアムの雰囲気でシュートを打たされてはいけない、自分で打つところを判断しないといけない」と語る。局面では熱く、タフに戦わなければならないが、スタンドからの声援が大きくなればなるほど、むしろ選手は心を反比例させるかのように冷静になる。ペースを掴んでハーフタイムを迎えた磐田戦後半も、指揮官は明鏡止水のようなプレーを望んでいたはずだ。

次ページ新潟とは対照的だった磐田の一貫性ある攻撃の狙い。

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