バイエルンの一強支配が終焉!レジェンドが胸中を告白「ドレッシングルームに引き上げても不貞腐れている」【独占インタビュー前編】

2024年04月23日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

選手個々のクオリティはいまなお…

クラブミュージアムで取材に応じてくれた元ドイツ代表のクラウス・アウゲンターラー氏。(C)WORLD SOCCER DIGEST

 2012-13シーズンから11連覇していたバイエルンのブンデスリーガ一強支配が終焉した。開幕から無敗の快進撃を繰り広げるレバークーゼンに勝点16差をつけられ、5試合を残しながらも王座を奪われてしまった。バイエルンに足りないもの、不満を感じる部分、あるいは期待したいことは何か。クラブレジェンドのクラウス・アウゲンターラーが腹蔵なく語ってくれた。【ワールドサッカーダイジェスト3月21日号より転載】

――クラブスローガン『ミア・サン・ミア』についてお聞きします。英訳すると『We are who we are』で、回答者によって解釈がまちまちです。バイエルンを知り尽くす、あなたの言葉で説明していただけますか?

毎試合、すべての選手がお互いのためにプレーすることだ。われわれの現役時代には当たり前だった話さ。いま、いや、いつからか増えたんだ。交代を言い渡されると、スタッフやベンチ要員と握手も交わさずに、ドレッシングルームに引き上げても不貞腐れているような選手がね。はっきり言おう。そんな態度はミア・サン・ミアじゃない! 選手はつねにチームと共にある。そのことを忘れてはならないよ。

――では、他にはないバイエルンの真髄、伝統的な強みは何ですか?

良い質問だ。まさに損なわれているものだよ。例を出そう。バイエルンからレバークーゼンにレンタル中の(ヨシップ)スタニシッチが「レバークーゼンは皆が共に戦い、勝つ時も負ける時も一緒なんだ」と話していた(編集部・注/今シーズンのレバークーゼンは公式戦43試合無敗。スタニシッチが強調するのは心構え)。しかも、それは「バイエルンで得られなかった感触」だそうだ。サッカーとはチームスポーツで、個人競技ではないことを肝に銘じるべきだろう。
【動画】29節ケルン戦のロングハイライト
――つまりミア・サン・ミアこそが強みで、それが欠けていると。

その通りだ。選手個々を見れば、バイエルンは(レバークーゼンに大差をつけられた)いまなおドイツ最高のクオリティを有している。しかし、チームとしてはどうか。皆で勝ち、皆で負け、皆で這い上がる。そういう意識が弱まっている。

――そのミア・サン・ミアの体現者を3人挙げるとすれば?

いずれも往年の名手になるが、(フランツ)ベッケンバウアー、ゲルト・ミュラー、フランツ・ロート、ゼップ・マイヤー、ゲオルク・シュバルツェンベック、ベルント・デュルンベルガーといった面々だね。いずれも長いこと、バイエルンでプレーしていた。現役の選手を挙げにくいのは、クラブを頻繁に変える者が多いからだ。20代の半ばで5つ、6つのクラブを渡り歩いている者も珍しくないだろう。そういう選手が「ここが私のクラブ」と主張しても、なんの説得力もない。翌年にはまた違ったクラブに行ってしまうんだからね。
 

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