止まらない町田の快進撃。川崎も下して首位キープ。パリ五輪最終予選控える藤尾翔太、平河悠が躍動

2024年04月07日 本田健介(サッカーダイジェスト)

10人になってもしっかり逃げ切る

決勝弾を奪った藤尾(写真左)とチャンスに絡んだ平河。パリ五輪最終予選を控えるふたりは勝利に貢献した。写真:滝川敏之

[J1第7節]川崎 0-1 町田/4月7日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

 前節、広島に敗れた町田はアウェーで川崎と対戦。後半にGK谷晃生が退場しながら、1-0で勝ち切り、初のJ1挑戦ながら首位の座をキッチリ守った。

 粘り強く対応した守備陣とともに、勝利の立役者となったのは、32分に貴重な決勝弾を奪ったFW藤尾翔太、そして抜群のスピードと運動量で攻守に幅広く絡んだアタッカーの平河悠という、この試合の後にU-23日本代表選手としてパリ五輪最終予選(U23アジアカップ)が開催されるカタールへ飛ぶふたりである。

 藤尾は32分に左サイドの藤本一輝のグラウンダーのクロスを、ファーサイドで上手くスライディングで合わせてゴール。後半、相手に競り勝ってヘッドで2点目を決めたかに思われたシーンは、味方のオフサイドによって取り消しになったが、ゴール前でストライカーとして抜群の存在感を示したと言えるだろう。

 C大阪のアカデミー育ちの藤尾は、昨年3月にレンタルで町田に加入。今季は完全移籍へ切り替え、快進撃を続けるチームで逞しく成長。その姿を黒田剛監督も評価する。

「昨年入ってきた時は、ひょろっとした感じで不安感もありましたが、彼は真摯に身体作りに取り組み、平河もそうですが、負けない身体を、耐えきれる身体をしっかり作り上げたこと、そして彼の持ち前の背後に抜ける動き、ダイアゴナルランというところを武器としてきちっと磨き上げたところに彼の良さが出てきたと思います。

 我々の志向するようなことをしっかり実践してくれた点もそうですし、持ち前の明るさだったり、努力する精神を持って、町田のストライカーとして、しっかり責任を持ってトレーニングに取り組むようになってから、チーム内の彼の信頼は高まり、本当にこの1年で成長してくれたと思います」

 その点を藤尾本人も「筋トレの成果もあって身体が動けるようになりましたし、試合で使っていただけたことで、ゴールと言う結果も増えたと思うので、勝負強さは成長したのかな」と、自己分析する。

【動画】町田らしい速い攻撃が炸裂! 藤尾翔太の決勝弾
 
 また平河も「1位で代表活動に行ける嬉しさもありますし、ここで負けて2連敗で行くのと、気持ちの持ち方は変わったので、本当に勝ちたい試合で、今日勝点3取れたことは置き土産ではないですが、代表活動に専念できると思います」と喜びのコメント。

 そして、チームへ「ベンチ外、ベンチが一体感を持ってやっているので、誰が出ても同じパフォーマンスができると思いますし、違う人は違う人の持ち味があります。長い間抜けてしまうことになりますが、帰った時も1位でいてくれると思いますし、よりメンバー争いをしていきたいです」とエールを送った。

 パリ五輪最終予選を兼ねたU23アジアカップで、若き日本代表は、韓国、中国、UAEと同組になったグループリーグを勝ち抜き、3位以内に入れば(4位はアフリカとのプレーオフへ)パリへの切符を手にできる。

 そんなチームへ、この日は対戦相手の川崎で頼もしいプレーを見せた19歳のCB高井幸大も含め、藤尾、平河は勢いをもたらしそうだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【記事】「よくわからないけどフリーでいる」名SB内田篤人が"クロスを上げやすかったFW"は?「あまり動きすぎてない」
 

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