現地紙コラムニストが綴る――武藤嘉紀のブンデス挑戦記「リハビリ後の武藤を待つものは?」

2016年04月07日 ラインハルト・レーベルク

残酷な診断を受け入れている。

度重なる怪我にも、武藤はポジティブに捉えて帰国の途についたという。東京でのリハビリ生活がはじまる。(C)Getty Images

 4月5日の昼、武藤嘉紀は東京へ飛び立った。

 彼にとってマインツでの今シーズンは事実上終焉した。右膝の靭帯を短期間で2度も負傷し、今後のリハビリを日本ですることになったのだ。ドイツへ戻ってくるのは、早くても来シーズンに向けた準備がはじまる6月になるだろう。

「長い時間、ヨッチ(武藤の愛称)と話をした」と語るのは、マルティン・シュミット監督だ。武藤は東京の大学病院で、日本代表チームドクターの世話になる。これからの治療方法についても、そこで随時決定されるようだ。シュミット監督は「必要となる医師、セラピスト、アスレティックトレーナーとの専門的な話も、母国語でできたほうが楽だろう。だから日本でリハビリするのがベストだという結論に達した。ドイツと遜色ないほどのプロフェッショナルなケアをしてもらえる」と説明した。

 海外でプレーする日本人選手の多くが、同様の選択をしている。ミランの本田圭佑、シャルケの内田篤人、そしてフランクフルトの長谷部誠もニュルンベルク時代に右膝を傷めた際、東京で手術とリハビリを行なった。

 武藤は今回の残酷な診断を、いまでは納得し、受け入れている。痛みはほぼなく、患部を固定するサポーターも着用せずに旅立てたという。

「リハビリを日本でやる機会を与えたことに、ヨッチはとても感謝していたよ。立てつづけに怪我をしてしまったことを、私たちに対して申し訳ないとさえ思っていたようだ。でもこういうことは起きるし、高いレベルでのスポーツでは付きもの。運が悪かっただけだ」とシュミット監督。
 

次ページ2月に痛めたのとは違う箇所を。

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