【浦和】広州打倒! 「本物」のサポーターの熱が勝利を呼び込む

2016年04月06日 熊崎敬

全選手が役目を果たした浦和で、特に目を引いたのが関根だ。

右サイドをえぐる関根のドリブルは、広州のリズムを断ち切り、浦和に勢いをもたらす起爆剤に。 (C) SOCCER DIGEST

 強烈な外国人を擁する王者、広州恒大を下して、浦和がグループリーグ2位に浮上した。
 
 終盤、相次いで迎えた追加点のチャンスを逃し、守っても決定的なピンチを何度か迎えた。内容はもうひとつ。だが、浦和は何よりも大切な結果を手にした。これは大きな前進といっていい。

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 この夜の浦和は精神的にも肉体的にもタフに戦い、広州の圧力に怯むところはほとんどなかった。
 
 勝利が必要な広州は、30分あたりから反則覚悟の荒々しいプレーを繰り出して主導権を奪い返そうとした。30分、38分、44分と、広州にイエローカードが相次いで出される。
 
 浦和のパスワークに振り回された彼らは、苛立ちにも駆られて、肉弾戦や笛の多い「汚い」ゲームを挑んできたのだ。
 
 だが浦和は、決して受け身に回らなかった。中盤でプレッシャーをかけ続け、撃ち合う姿勢を崩さなかった。それが勝利を呼び込んだといっていい。
 
 すべての選手が役目を果たした浦和だが、特に目を引いたのが関根だ。右サイドを何度となく突破し、深いところまで斬り込んでチャンスを創った。武藤のゴールをお膳立てしたのも、彼である。
 
 関根のドリブルは広州のリズムを断ち切り、浦和に勢いをもたらす起爆剤となった。
 
 鋭い加速で何度も敵を置き去りにした彼は、ペナルティエリアに侵入し、深いところからの折り返しでチャンスを創った。そうでない場合も確実にCKを獲得した。
 
 つまり、陣地を回復するだけでなく、CKを得ることで時間も稼いだのだ。武藤に並ぶ立役者といっていい。
 
 武藤が、関根が輝いた夜、筆者の記憶にもうひとつ焼きつけられたものがある。それはサポーターたちの熱い声援だ。
 
 終盤に沸き上がった歌声は最後まで途切れることなく続き、タイムアップの瞬間、爆発的な歓声へと変わった。それは勝利を切望する人々の、心からの叫びだった。
 
 花冷えのする平日の夜、埼玉スタジアムに足を運んだのは3万282人。決して少なくはないが、スタンドには空席が目立った。
 
 だが、人数は問題ではない。こういうゲームにやって来るサポーターは本物だ。彼ら、彼女たちの歌声や喝采は、空席の存在を忘れさせる熱があった。
 
取材・文:熊崎敬

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